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暗い空に浮かぶ煌めく星々を見上げ、静かな空気に耳をすます。
窓を一枚隔てた向こうから微かに聞こえる人々の喧騒は遠く感じ、違う世界へ来たようだった。
連れてきた男は少し息を吐いてから、空を見上げるAに声をかける。
「ここ、僕のお気に入りの場所なんです。星がすごく綺麗に見えるから」
『そうですね、とても素敵です。私がお邪魔してもよかったのですか？』
「…Aさんは特別です」
はにかみながら嬉しそうに言う皇太子にAも微笑み返す。
二年程前までは自分よりもかなり低かったはずの背はすっかり同じくらいになってしまった。
しかも彼はまだ成長期、これから更に伸びるのだろう。
近況等を聞きながら時の流れに少し感傷に浸っていると、皇太子は若干緊張した面持ちでAを見つめる。
「…僕に、婚約者がいるのは知ってますか？」
『お相手までは存じませんが、以前陛下からそういった方がいるということは伺っております』
「…親に決められた婚約者と結婚するなんて、僕には考えられません。僕は、自分が好きな人と結婚したいんです。自分が素敵だと思う人と、グラシエルを良くしていきたいんです。…僕、間違ってますか？」
不安そうな声はどこか救いを求めているようで。
思春期らしい、しかし身分が故の悩みにAも頭の中で慎重に言葉を選ぶ。
個人的には彼の思いを肯定したいが、立場的にはそうも言えないだろう。
『…いいえ、間違ってはいないと思います。ですが、陛下にもいろいろとお考えがあるかもしれませんから、一度お話されてみてはいかがですか？』
「…わかってくれるでしょうか？」
『それはお話してみないことにはわかりません。しかし陛下のことですから、きちんと理由をお話すれば頭ごなしに否定はされないと思いますよ』
そう言うと彼は少しだけ肩に入っていた力が抜けたようだった。
手元のジュースを一気に飲むと、バルコニーの手すりにもう片方の手を置いて微笑む。
「…やっぱりAさんはすごいや」
『私ですか？』
「はい。僕は皇太子だから、何を言っても頷く人もいれば、逆に皇太子ならこうしないとって否定ばかりする人も沢山いるんです。でも、Aさんは違う。僕個人のことも見てくれてる。その上でちゃんと意見やアドバイスもしてくれる。すごくありがたいし、尊敬してます。……僕は、」
そういう人と、結婚したいんです。
小さく呟かれた声は紛れるはずもなく確かに耳に届き、彼女の目を僅かに開かせた。
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ミリオ - 小説読ませていただいてます！いやもう読む手が止まらないくらい、面白いです。グル氏の少し子供っぽいところがツボで、来るたんびに部屋で一人で「キャー！！」って言ってますw私は読むことしかできませんが、これからも頑張ってください！ (2020年3月23日 2時) (
レス) id: 5e8093b1cc (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - 豆粒さん» コメントありがとうございます。わかりやすいですか…！？嬉しいです！更新遅くて申し訳ないですが、またいらしていただけると嬉しいです。 (2017年11月27日 8時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
豆粒 - はじめまして!内容が濃くて続きが気になってしまいます(*´∀`*)あと その場の状況がわかりやすい詳しい文にとても惹き付けられちゃいます、更新お疲れさまですっ (2017年11月26日 20時) (レス) id: 6ecce97bae (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - RIARUさん» コメントありがとうございます。面白いと思っていただけて嬉しいです！いえいえ、私の話は参考にできるほどではないので…。ゼロからオリジナルで書かれた方がもっと面白いお話ができるかと思います。 (2017年11月21日 12時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
RIARU(プロフ) - 作品読ませていただいてます！とても面白いです。私も小説を書いてるんですが参考にしてもよろしいでしょうか？失礼だったらすみません。 (2017年11月19日 21時) (レス) id: 88c227d681 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃亜
| 作成日時：2017年7月7日 23時
