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仕事がひと段落した日の午後、Aはキッチンに立ってお茶の準備をしていた。
使用人に菓子の用意を手伝ってもらいながら、自身は慣れた手つきで紅茶を準備する。
あえてライトな口当たりで香りも癖の強くないお茶を選び、諸々をトレイに載せた彼女はいつもの部屋とは違う場所へ足を向けていた。
「ん、うまいわ」
『そうですか、よかったです。コーヒーと迷ったんですが、先程まで飲まれていたかと思いまして』
そう笑う彼女に目の前のトントンもありがたいと笑みを浮かべる。
二人しか居ない静かなここは書記長室。
ある程度仕事の落ち着いたトントンとAはソファーに腰を下ろしてささやかな茶会を開いていた。
甘いものを食べながら話す話題は軍内のこと、幹部のこと、日々のこと、そしていくらかの愚痴。
苦労人であるトントンは良い話も悪い話も尽きないようで、Aも彼の心情を察しながら聴き、同調を重ねる。
「ごめん、俺ばっか話しとるな。なんかA話しやすくって」
『ふふ、わかります。私もトントンさんとは話しやすいですから』
「そう言ってもらえると嬉しいけど…なんか前にもあったな、こんな感じ」
『そうですね、外交でお邪魔していた時に何度か。…実はあの頃から、こうやって愚痴も交えたお茶会ができないかと思っていたので』
「そうなん？」
当時の関係ではあり得なかった未来。
それが幸か不幸か、何の因果か、今は普通にできてしまっている。
トントンはすっかりリラックスして話していたが、ここに至るまでのAの経緯を思うと少し複雑な気持ちになった。
辛かったはずだ、我々に来るまでにも一悶着あったのだから。
しかし目の前で楽しそうに微笑む彼女を見て、彼もそれを言葉には出さずに優しげに微笑み返す。
「…Aの話も聞きたいわ。秘書の仕事はもう随分慣れたっぽいけど、困っとることとかある？」
少し心配そうに聞いてくるトントンは相変わらず己より他人を優先しているようだ。
微かに笑いをこぼし、それでも問いには正確に答えた。
『そうですね、グルッペン様の脱走を止める手立てはないのですか？』
「……あいつまた脱走したん？」
『いいえ、今はまだ。ただ、また同じことが起こる前に対処ができればトントンさんの苦労も一つ減るかと思いまして』
「ええ、俺？まあ苦労してないって言ったら嘘になるけど、そもそも俺の言うこと聞かんしなぁ…」
困ったように首を傾げるトントンに、Aも同様の顔で苦笑を返した。
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ミリオ - 小説読ませていただいてます！いやもう読む手が止まらないくらい、面白いです。グル氏の少し子供っぽいところがツボで、来るたんびに部屋で一人で「キャー！！」って言ってますw私は読むことしかできませんが、これからも頑張ってください！ (2020年3月23日 2時) (
レス) id: 5e8093b1cc (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - 豆粒さん» コメントありがとうございます。わかりやすいですか…！？嬉しいです！更新遅くて申し訳ないですが、またいらしていただけると嬉しいです。 (2017年11月27日 8時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
豆粒 - はじめまして!内容が濃くて続きが気になってしまいます(*´∀`*)あと その場の状況がわかりやすい詳しい文にとても惹き付けられちゃいます、更新お疲れさまですっ (2017年11月26日 20時) (レス) id: 6ecce97bae (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - RIARUさん» コメントありがとうございます。面白いと思っていただけて嬉しいです！いえいえ、私の話は参考にできるほどではないので…。ゼロからオリジナルで書かれた方がもっと面白いお話ができるかと思います。 (2017年11月21日 12時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
RIARU(プロフ) - 作品読ませていただいてます！とても面白いです。私も小説を書いてるんですが参考にしてもよろしいでしょうか？失礼だったらすみません。 (2017年11月19日 21時) (レス) id: 88c227d681 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃亜
| 作成日時：2017年7月7日 23時
