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会議室での一悶着を終え、ようやくその場は解散となる。
Aはしばらくトントンに仕事を教わることになり、まずは城内の案内をしてくれる彼について廊下を歩いていた。
『先程は失礼しました。急にお話を振ってしまって』
「確かにびっくりはしたけどそんな気にせんでええよ。俺が気づくの遅かっただけやし」
微笑んでそう言うトントンにAも安堵したように息を吐く。
「でもさすがやったな。この調子でグルさん締めてってくれると助かるわ」
『私よりトントンさんの方が有効だと思いますが？』
「いや、俺の言うことなんか全然聞かんで。ほんまに何とかしてほしい…」
相変わらずの苦労人っぷりに思わずAも苦笑いを浮かべた。
以前オスマン達に案内された時には見ることの叶わなかった訓練場や武器庫。
広い訓練場やズラッと並べられた銃や剣を見て、Aの表情は他人に気づかれないレベルの無機質なものに変わる。
武器の蓄えも多く、数も質も圧巻としか言いようがない。
これを使わせないようにするのが自分の役目だと、本来の業務からずれた目標を一人静かに定めていた。
外の一角には畑と小屋がある。
ひとらんらんの管轄だと教えられたそこはかなり綺麗に整備されていた。
小屋には馬や鶏もいるらしい。
殺伐とした武器庫等と同じ敷地内とは思えないくらいのどかな場所だ。
今度彼のいる時に来てみるのもいいかもしれない。
しかし畑を荒らした者には復讐鬼が襲いかかるという物騒な補足にはさすがにAも顔をしかめた。
その後もすれ違う兵や使用人に頭を下げられながら城内の施設や設備を見て回る。
トントンの説明はかなりわかりやすく理解しやすいものだった。
言葉選びが上手いのか、もしくは案内し慣れているのか。
疑問や質問にも丁寧に答えてくれる。
ふと見上げるとすぐに気がついて微笑まれた。
「ちょっと疲れたか？休憩する？」
『いえ、大丈夫です』
「そうか？遠慮せんでな」
『…トントンさんは本当に出来たお方ですね』
思わず呟くと彼は驚いたように目を見開く。
「え？いや俺なんかまだまだや。もっといろいろ頑張らんとだし」
『十分ですよ。仕事も出来る、指示や説明も的確、紳士で優しくて、配慮も完璧ですし、』
「おん、あの、嬉しいけどその辺にして…あんま褒められたことないから何か恥ずいわ…」
片手で口元を覆うトントンは明後日の方向を向いている。
顔色は伺えなかったが、眼鏡のフレームがかけられた耳は僅かに赤く染まっていた。
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はろ - 初コメ失礼します。今日初めてこの小説を見つけ一気に読んでしまいました。素敵な作品をありがとうございます！ (2019年5月10日 23時) (
レス) id: 04eaede967 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - あ、あの、エーデルが死ぬと思ってなくて思わず涙が……(T ^ T)作品好きです！ま、まさかのおおおおってなっておりますっっ！ (2019年4月26日 17時) (レス) id: 0dc2b364d7 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - フーさんさん» コメントありがとうございます。ボキャブラリー広いですか…！？まだまだ勉強不足な面もありますが、そう言っていただけて嬉しいです！ありがとうございます。続編もあるのでよかったらご覧になってみてください。 (2018年3月14日 21時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
フーさん - 主様のボキャブラリー広すぎるぅううう… (2018年3月14日 13時) (レス) id: c25a3a0724 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - 遊馬さん» コメントありがとうございます。まだまだ拙いですが、お褒めのお言葉とても嬉しいです…！お気遣いありがとうございます。次作もどうぞよろしくお願いします。 (2017年7月7日 14時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃亜
| 作成日時：2017年5月24日 22時
