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「さて、交渉に入る前に一つ言っておこう。これから一切俺に気を遣うな。思ったことは何でも言ってくれ。お前が一歩引いた状態だと対等な交渉とは言えないからな」
また無茶苦茶なことを言い出したな。
目の前のグルッペンに思わずため息を吐きそうになるが、寸前のところで何とか留めて代わりに言葉を紡ぐ。
『立場も地位も違いすぎる方相手にそれは難しいです。既にかなり失礼な態度をとっている自覚はありますが』
「どのへんがだ、うちの奴らに比べたら全然だぞ。どうせ他に聞いている奴もいないんだから気にする必要はない」
『そうは言われてもですね、』
「Aの本心を知らなければただの俺の押し付けになるだろう。議論と言うのは互いに意見を出し合ってこそ成立するものだ。それともあれか？今だけでも気を遣うなと命じればいいのか？」
ニヤリと笑うその口。
なんだかんだ言って立場を利用してくるあたり若干腹が立つが、それが嫌味になりすぎない貫禄があるのだからずるい人だと思う。
『…ですから、何故自国で他国の方の命を聞かなければならないのですか。そもそも私は貴方の部下ではないので命令される筋合いはありませんが』
「おっ、いいゾ、その調子でどんどん意見してくれ」
何故か若干嬉しそうに言うグルッペンに返す言葉を失った。
もう面倒だ、さっさと本題に入ってもらおう。
もしもこの後不敬で刺されたらこの人のせいにすることにする。
『それで、交渉とは？』
「ああ、もうわかっているとは思うが、お前を再びスカウトしに来た。その為の交渉だ」
『前回お断りしましたが』
「その理由については対策を立ててきた。まず、Aには外交官ではなく総統秘書として来てもらう」
また何を言いだすんだこの人は。
そもそもAは外交官として名を上げた訳で、他の仕事、それも秘書業務なんてやったことがない。
しかし彼は楽しそうに続きを話す。
「これなら周りにも角が立たない。判断は早いし責任感もある、臨機応変に対応できる上に気遣いもできるとくれば申し分ないだろう。書類業務も得意と聞いている。トントンだけでは正直業務量が限界だからな。総統秘書という側近にも近い役職なら俺に意見するのも何も不思議ではない。また、これまでよりは減るだろうが他国の上層部と顔を合わせる機会も当然ある。その時はお前の顔の広さを活かして俺との橋渡しも担ってもらう予定だ」
既に業務内容の説明に入っているグルッペン。
まだやるとは言っていないのだが。
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はろ - 初コメ失礼します。今日初めてこの小説を見つけ一気に読んでしまいました。素敵な作品をありがとうございます！ (2019年5月10日 23時) (
レス) id: 04eaede967 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - あ、あの、エーデルが死ぬと思ってなくて思わず涙が……(T ^ T)作品好きです！ま、まさかのおおおおってなっておりますっっ！ (2019年4月26日 17時) (レス) id: 0dc2b364d7 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - フーさんさん» コメントありがとうございます。ボキャブラリー広いですか…！？まだまだ勉強不足な面もありますが、そう言っていただけて嬉しいです！ありがとうございます。続編もあるのでよかったらご覧になってみてください。 (2018年3月14日 21時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
フーさん - 主様のボキャブラリー広すぎるぅううう… (2018年3月14日 13時) (レス) id: c25a3a0724 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - 遊馬さん» コメントありがとうございます。まだまだ拙いですが、お褒めのお言葉とても嬉しいです…！お気遣いありがとうございます。次作もどうぞよろしくお願いします。 (2017年7月7日 14時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃亜
| 作成日時：2017年5月24日 22時
