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十日程前に届いた手紙、それも外交官室を経由してではなくこの家に直接届いた手紙。
何度も眺めたそれをもう一度手に取る。
家自体はとっくに知られていたので、思うところはあるが特に驚かない。
相変わらず綺麗な字だな、と本来なら見慣れるはずのなかった筆跡を見てその時を待つ。
目を閉じるとどうしてもあの人の姿が浮かぶが、記憶の中の彼はいつものように微笑んでいた。
「すまない、時間より少し遅れた」
開口一番謝罪を告げた訪問者だが、その顔に反省の色はあまり見えない。
むしろどこか楽しそうに笑っている。
ああ、この顔にはなんだか覚えがある。
『構いません、事前に訪問のご連絡をいただけただけありがたいです』
「ああ、オスマンと大先生にひどく怒られたからな。今日はちゃんと連絡してから来たゾ」
『そうですね、こんな所までご足労いただきありがとうございます。今日はトントンさんはご一緒ではないんですか？』
てっきり後ろにいるだろうと思っていたトントンの姿は見えず、ドアの向こうには知らない顔の部下と思われる人物が何人かいる。
「いつも一緒という訳ではない。今日は俺だけだ。お前と一対一で話をしに来たんだからな」
そう笑うグルッペンは背後の部下達に外で待っているよう告げ、一人でAの家に上がる。
ずいぶん信頼されているな、と思いながらテーブルに案内して紅茶を用意するが、どうしても一つ気になることがあった。
『…まさかとは思いますが、また黙っていらっしゃったとかではないですよね』
「またって何だ。この家に来るのは二度目だぞ」
『以前にも何度かトントンさんに黙って行動されていたようなので、心配になってしまって』
「何の心配だ？」
『トントンさんのストレスについてです』
「…今日はちゃんと伝えてある。と言うか俺の心配ではないんだな」
『もちろん心配していますよ。私のことを信用しすぎなところ等は』
そう言うとグルッペンは唇からカップを離して不敵に笑う。
相変わらず自信に満ち溢れた人だな。
そしてこの後は当然のように自論を展開するんだろう。
「当たり前だろう。これから仲間にしようとしているんだ。それにお前が信頼に足る人物なことは既に証明されている」
『外の方々には通用しない理屈ですね。と言うよりいろいろ飛ばして結論に入っている気がするのですが』
「言ったはずだ、俺はお前を諦めないと。そして今日はその材料を揃えてきた」
ニヤリと笑う彼の金髪が照明を反射して僅かに煌めいた。
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はろ - 初コメ失礼します。今日初めてこの小説を見つけ一気に読んでしまいました。素敵な作品をありがとうございます！ (2019年5月10日 23時) (
レス) id: 04eaede967 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - あ、あの、エーデルが死ぬと思ってなくて思わず涙が……(T ^ T)作品好きです！ま、まさかのおおおおってなっておりますっっ！ (2019年4月26日 17時) (レス) id: 0dc2b364d7 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - フーさんさん» コメントありがとうございます。ボキャブラリー広いですか…！？まだまだ勉強不足な面もありますが、そう言っていただけて嬉しいです！ありがとうございます。続編もあるのでよかったらご覧になってみてください。 (2018年3月14日 21時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
フーさん - 主様のボキャブラリー広すぎるぅううう… (2018年3月14日 13時) (レス) id: c25a3a0724 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - 遊馬さん» コメントありがとうございます。まだまだ拙いですが、お褒めのお言葉とても嬉しいです…！お気遣いありがとうございます。次作もどうぞよろしくお願いします。 (2017年7月7日 14時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃亜
| 作成日時：2017年5月24日 22時
