其の日 ページ6
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ウォール ･ マリア内地 _ 口許に緩く笑みを浮かべた儘のラネーヴェは様子が可笑しい ｡
愛想良い其の微笑みは ､ 状況とは一変した不気味さを纏っていた ｡
「 ラネーヴェ嬢 ! ! ｣
「 ? ､ どうしたんだい ､ ディオ ｣
「 アポロン殿とアルテミス殿は ? ! 一緒じゃ ､ 無いのか ? ｣
立体機動で追い付いたディオニューソスが問い掛けると ″ 嗚呼 ″ と呟いて嗤った ｡
衣嚢を弄ると骨董品を取り出し ､ 血濡れの姿で怪しく微笑んで ″ もう居ないよ ″ と言った ｡
間抜けに呆けたディオニューソスに対し ､ 全く表情を変えず ､ ラネーヴェは首を傾げた ｡
可愛らしさの欠片も無い仕草に ､ ディオニューソスは怒りに任せて激しく頬を打った ｡
「 何で ､ 笑ってんだよ ｣
「 ″ 何で ? ″ 其れは此方の台詞だね ､ 如何して私の頬を打ったんだい ? 酷いじゃ無いか ｣
「 ｯｯ … 大切な人が亡くなったんだぞ ? ! ｣
「 ″ 此の世は残酷さ ″ ｡ だが ､ 次は無いよ … 大切な
剣の如く鋭い眼光がディオニューソスを射抜き ､ 身体を少しも動かす事が出来なかった ｡
ラネーヴェは元の不気味さを纏う笑顔で ″ 行こう ″ と先を歩み出した ｡
♢♢♢♢♢♢
立体機動を駆使し ､ ディオニューソスは橋の欄干へと降り立ち ､ 駐屯兵の方へ駆け出した ｡
抱えられたラネーヴェは噎び泣く大人や叫喚する子供を見詰め ､ 軈て眼を逸らした ｡
「 すみません ! ! 此の娘を乗船させて頂けませんか ! ｣
「 ? ! ､ 憲兵団が … ｯ ､ 簡潔に説明しろ ｣
「 シガンシナ区支部指揮官のセメレーと言います ! !
此の娘はローゼの伯爵家令嬢です ｣
駐屯兵は渋り顔をすると ､ ″ 乗せてやれ ″ と ( 後の ) 世間体を考慮して判断した ｡ ラネーヴェが乗船すると共に出航の警笛が鳴らされた ｡
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作者名：花詠 x他1人 | 作成日時：2020年9月18日 18時
