- ページ26
.
「 現在は前衛で迎撃中だ ｡ 本防衛作戦の目的は一つ !
住民の避難が完了する迄に ､ ウォール ･ ローゼを死守する事である !
尚 ､ 承知しているであろうが …�� 敵前逃亡は死罪に値する �甞� ､ 心して命を捧げよ ! ! 解散 ! ｣
巨人の侵攻を甘く思慮していた人類の落ち度である ｡ 密かにラネーヴェは嘲り ､ ″ 可哀想 ″ と同期に対して哀れみの眼を向けた ｡ 一概に ″ 全員に ″ とは言い切れないが ｡
♢♢♢♢♢♢
「 マルコ ､ ｣
「 ラネーヴェ ｣
華奢で白く冷たいラネーヴェの両手を ､ 骨太で暖かいマルコの両手が被さるように包んだ ｡
″ 生きている ″ ″ 此処に存在する ″ と主張している体温を感じた二人は小さく微笑んだ ｡
怖気付く者に眼もくれず ､ 互いに ( 幼馴染み特有の ) 喝を入れ合った ｡ 二人の意思は揺らめく瞳に宿った ｡
″ ヘル訓練兵 ! ! ″ と二輪の薔薇を背負う兵士に招集が掛けられ ､ ラネーヴェは敬礼を行う ｡
「 お前はアッカーマンと共に ､ 後衛部を担当しろ ｣
「 … 了解しました ｣
兵士の背で揺れる薔薇を暫く見詰め ､ マルコの方へと向き直る ｡ か細い声で ″ マルコ ､ マルコ ″ と其の名を幾度と呼び掛ける ｡
喪う事に恐怖を抱くラネーヴェの心象を悟ったマルコは其の華奢な体躯を抱き締めた ｡
腰にある立体機動装置が音を立て ､ ラネーヴェは自身を包む柔らかな匂いに視線を上げた ｡
「 大丈夫 ､ 僕は死なないよ ｣
「 … 叔父様と叔母様も ､ そう言ってたのだよ ｣
「 ラネーヴェは僕の事を信じられない ? ｣
「 ｯ ､ 約束 ､ さ ｡ 絶対に生きて ､ 会う ｣
胸元に顔を埋めたラネーヴェは ､ 耳を真っ赤にし乍ら恥ずかしそうに言い ､ マルコは晴れやかな笑顔をして ″ 嗚呼 ､ 絶対だ ″ と力強く言う ｡ 二人を繋ぐ手は解け離れていった ｡
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：花詠 x他1人 | 作成日時：2020年9月18日 18時
