道化の華は笑む (ページ24)

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〝歴代総首席〟の称号を有するのは､過去の訓練兵実績を尤も超越せし者の事｡
新たなる逸材が生まれる度､記録は塗り替えられるが〝前(､)歴代総首席〟は 91 期生の男だった｡

「何故､ディオが此処にいるんだい ? ｣

「俺を遥かに越えた〝歴代総首席〟に会いに来た｡真逆､ラネーヴェ嬢だとは思わなかったけど｣

「流石､〝前(､)歴代総首席〟｣

「 ? ! ､知ってたんだ … ? ｣

口許に弧を描き､頬を掻いたディオニューソスこそ､ 91 期生に現れし〝前(､)歴代総首席〟である｡
憲兵団の幹部格(クラス)と対面したジャンは敬礼をし､困惑顔でラネーヴェに訴えていた｡

一方､少々交流のあるマルコは ″ お久しぶりです ″ と丁寧に､敬礼を添えて微笑んだ｡
ディオニューソスは ″ 敬礼しないで良いよ ″ と笑みを浮かべ､ジャンとマルコを窘めた｡

「所属兵科は勿論､憲兵団だよね ? ｣

「其の事なんだけれどね､｣

「嗚呼 ″ マルコと一緒が良い ″ って言ってたっけ ?
マルコくん､君は如何する心算なの ? ｣

「 … 調査兵団に入りたいと､思います｣

言葉を濁したラネーヴェを察してか､威圧的な口調に変えたディオニューソスはマルコに視線を向けた｡
気圧されたマルコだったが､重い決断を口にすると､ディオニューソスの表情が翳(かげ)った｡

「そうか … マルコくん､君はラネーヴェの事を考慮した上で､其の決断をしたんだね ? ｣

「ディオ､マルコを咎める必要は … ｣

「俺はラネーヴェの事を心配しているんだよ｣

「 … 私は大切な人(モノ)を喪いたくないだけさ｣

自嘲気味に嗤ったラネーヴェの表情は苦渋が滲んだ事に気付いたジャンが背を撫でた｡落ち着かせるような其の拍子に鼓動は収まっていった｡

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