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「 なぁ ､ ダズ ｡ 彼奴 ､ 確か昨日巨人を皆殺しにしてやるとか言ってた奴だよな ｣
「 明日には開拓地行きだろ ｡ 役立たずに食わせる飯は無いって ｣
複数の囁き声がラネーヴェの鼓膜を揺さぶり ､ 途轍も無い不快感に襲われる ｡
傍目で少年−−−エレンを見ると ､ 包帯を頭に巻き ､ 放心状態で空虚を見上げていた ｡
野望を粉砕されたエレンの肩を ､ 少女−−−ミカサが掴んで現実へと引き戻し ､ 心配そうに顔色を窺った ｡
金髪の少年−−−アルミンは ″ 明日に賭けるしか無いよ ″ と首を竦めて見せた ｡
ラネーヴェは紅茶を嗜み終えると ､ 軽薄な鐘が鳴ると共に席を立ち ､ マルコを呼び止める ｡
不思議そうに首を傾げるのに構わず ､ 食堂の外に連れ出すとジャンが吼えるが ､ 気にしない ｡
「 イェーガー少年に伝えて欲しい事がある ｡ ″ 明日には出来るよ ″ とね ｣
「 ? ､ 自分で言えば良いじゃないか … ｣
「 彼との関係は良好と言い難い … 素直に私が言った処で聞くとは思わないよ ｣
「 … 僕が言っても変わらないと思うけどな ｣
困ったように笑うマルコの肩を叩き ､ ″ 頼んだよ ″ と笑顔を繕えば ､ ″ 笑えて無いよ ″ と指摘を受けた ｡
脈絡の無い其の発言に対し ､ ラネーヴェは ″ はて ､ 何の事だい ? ″ と惚け ､ 完璧な笑顔を見せた ｡
「 私の笑顔は完璧だろう ? ｣
「 全く … ほら ､ そろそろ戻った方が良い ｡ 教官にも見つかるし ､ 女子達も心配するよ ｣
「 そうさせて貰うさ ｡ おやすみ ､ マルコ ｣
「 嗚呼 ､ おやすみ ｣
マルコに優しく髪を梳かれたラネーヴェは嬉しそうに頬を緩め ､ 気恥しそうに手を振った ｡
女子宿舎へ向かうラネーヴェの後ろ姿に見惚れた様子のマルコを ､ ジャンが揶揄うのは眼に見えていた ｡
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作者名：花詠 x他1人 | 作成日時：2020年9月18日 18時
