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銀唐草模様の
其の美しいラネーヴェの横顔眺める少年の鼻先に白煙を吐き出し ､ 笑顔を繕った ｡
「 なｯ ､ 何しやがる … ! しかも ､ てめｯ ､ 煙管は身体に悪いだろうが ! ｣
「 はは ､ 心配してるのかい ? 嗚呼 ､ 今更だけれど … 君の名前を聞いて無かったね ｣
「 今更過ぎんだろ … ｣
母親のように叱咤した少年を揶揄うと ､ ラネーヴェは渇いた笑い声を上げ ､ 煙管を衣嚢に仕舞った ｡
木材の手摺に身体を預けた少年は額を抑え ､ 首を横に振って呆れを示した ｡
其処に後方から ″ ごめん ､ 待たせた ! ″ と耳馴染みのある柔らかい声が聞こえた ｡
呼吸を荒くしたマルコが駆け寄り ､ 少年は驚きで瞠目してマルコとラネーヴェを交互に見た ｡
「 おや ､ 如何したんだい ? キルシュタイン少年 ｣
「 如何したも ､ こうしたも … つか ､ 名前知って ! !
其れに ″ キルシュタイン少年 ″ って辞めろ ! ｣
「 静かにし給え ､ 君の声は響くのだよ ｣
「 ンだと ! ? ｣
口許を覆ったラネーヴェは少年−−−否 ､ ジャンの
傍で呆然とするマルコは ″ ラネーヴェ … ″ と止めようとするが ､ 全く効果は無かった ｡
「 其れではキルシくん ､ 私は失礼するよ ｣
「 ″ キルシくん ″ も辞めろ ! 其れと名前教えろ ! ｣
「 私の名はラネーヴェ ･ ヘル ｡ それじゃ ､ ｣
「 また明日ね ､ ラネーヴェ ｣
「 うん ､ おやすみ … マルコ ､ キルシくん ｣
段数の低い階段を跳んで降りたラネーヴェは ､ 唐突に別れを告げ ､ 暗闇へと歩いて行く ｡
揶揄われて憔悴したジャンは ､ 金髪を靡かせた其の姿に不覚にも見惚れ ､ 無意識に手を振っていた ｡
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作者名：花詠 x他1人 | 作成日時：2020年9月18日 18時
