- ページ13
.
諭すような柔らかい口調は ､ 一見して敵意の無い同調にも見えるが ､ 視線や態度は飄々としていた ｡
確かに ″ 否定する心算は無い ″ のだろうが ､ 其の瞳には ″ 賛同する心算も無い ″ と語っていた ｡
熱意に満ちた少年は分からぬだろうが ､ 傍に居る金髪の聡明 ( に見える ) 少年は理解した様子だった ｡
ラネーヴェは美しい
「 唯−−−否 ､ 何でもないさ ｣
「 は ? ! 意味分かんねぇよ … ! ! おい ､ ｣
「 なｯ … 少年 ､ ｣
白のシフォンブラウスに触れた途端 ､ 鋭い電撃が脳と神経に走り ､ 少年とラネーヴェは距離を取る ｡
驚愕の表情を見合わせ ､ 二人は一瞬で視線を逸らし ､ 互いの進行方向へと歩き出した ｡
食堂を出たラネーヴェは ″ あ ､ そういえばマルコ ″ と思い出し ､ 近くの柱に背を預けた ｡
鐘の鳴る間際の一悶着を知らぬ儘 ､ ラネーヴェは煙管を弄んでマルコが来る迄 ､ 時間を潰した ｡
♢♢♢♢♢♢
軽薄な鐘の音を聴き乍ら ､ 煙管を唇で銜えていると ､ 肩を指で突かれ ､ 驚いて首を竦めた ｡
ラネーヴェが振り返ると ､ ″ 憲兵団に入って ､ 内地で暮らしたい ″ と言った少年が居た ｡
「 何の用だい ? 巨人の話なら ､ ｣
「 おいおい ､ 勘違いするなよ ? 俺は野郎とは違ぇ ｡
″ 巨人を駆逐 ″ とか ､ 勇敢は気取れねーよ ｣
「 おや ? 随分と正直なのだね ､ 君は ｣
「 其れが現実ってモンだろ ? ｣
″ だから ､ アンタと話したいと思った ″ と照れ臭そうに笑顔を溢した少年は ､ 頬を掻いた ｡
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：花詠 x他1人 | 作成日時：2020年9月18日 18時
