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煌びやかな苺水晶のループタイを指先で弄び ､ 黒赤のスカートの裾を翻したラネーヴェは約束通り ､ 宿舎の扉付近でマルコを待っていた ｡
幾ら穏やかなマルコでも ､ 流石に男子禁制の領域には踏み入る事が出来ないので ､ 比較的緩めの男子宿舎の前を待ち合わせ場所に決めていた ｡
「 ねぇ ､ ｣
「 ? ､ おや ､ 私の事かい ? ｣
「 そう ｡ あなたは二年前 ､ 兵士に絡まれていた私達を助けてくれた ｣
黒髪を靡かせた少女が佇み ､ 漆黒の瞳をラネーヴェに真っ直ぐ向けていた ｡
薄らであるが ､ 記憶の片隅に立つ三人の少年少女の姿を想起し ､ ラネーヴェは ″ 嗚呼 ″ と呟いた ｡
「 ずっと御礼が言いたかった ｡ 有難う ｣
「 感謝されるような事じゃないさ ｡ 唯の自己満足 ｣
「 其れでも私達にとっては感謝すべき事 ｣
「 … そうかい ｡ 君は頑固だね ? そういうの嫌いじゃない ｡ 良ければ ､ 仲良くしてくれるかい ? ｣
ラネーヴェの問い掛けに対し ､ 無表情を綻ばせた少女は ″ 勿論 ″ と小さく頷いた ｡
約束の時間は迫ると ､ 少女は名を告げずに去り行き ､ 其の後 ､ 漸くマルコが駆けて来た ｡
「 ラネーヴェ ! ! ! 待たせてごめん … ! ! ｣
「 マルコ … 遅いから心配したよ ｡ さあ ､ 行こう ｣
額に滲む汗を拭い乍ら ､ ″ 変な事されなかった ? ″ と聞いてくるマルコは心配症である ｡
意味深に笑顔を繕ったラネーヴェは食堂へ続く小道を愉しそうに駆けた ｡
「 人が多いな … 何処に座る ? ｣
「 私 ､ 彼と話してみたいんだが … 良いかい ? ｣
同期に囲まれ ､ 尚且つ記憶の片隅で憎悪を瞳に宿した少年の姿が類似しており ､ 話をしたいと思った ｡
マルコは瞠目した後 ､ ″ 良いよ ｡ 僕も一寸話を聞いてみたいから ″ と柔和な笑みを浮かべた ｡
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作者名：花詠 x他1人 | 作成日時：2020年9月18日 18時
