腹の虫 ページ28
風呂から上がると部屋は綺麗に片付けられ、シーツは新しいものに替えてあった。
おまけに服の乾燥まで済ませてあるなんて有難い
外はすっかり日が沈み、月が夜を照らす
窓に張り付いて月を眺めるAに「こっちに来い」と呼べば『なぁに?』と、ぶかぶかのバスローブを引きずりながら寄ってくる
「髪乾かさねえと風邪引くだろ」
…て、そういやコイツ人間じゃないんだったな
天使って風邪とか引くのか知らねえけど
ぼふっとベッドに腰掛けたオレの手に握られているのはドライヤーと櫛。それを見てAがドライヤーの方を指差して言う
『それラッパ?』
「ラッパじゃない。いいからここ座れ」
ベッドの空いたスペースをぽんぽんと叩けば、苦戦しつつもベッドによじ登り始める。
うんしょ、うんしょっ。と唸りながら登り切った途端、チビの体は前のめりになり過ぎてポフンっと顔からベッドに着地した
『わぷっ』
「何やってんだ」
土左衛門か。とツッコめば、ガバっと起き上がりオレと向かい合うように座った
「じゃなくて後ろ向け」
『え?うしろ?』
『んと…こう?』と聞きながら背中を向けてみせるチビに「そうそう」と答えれば控えめに顔を緩ませた
まだ少しぽたぽたと滴るしずくをタオルでわしゃわしゃと拭いてやれば、きゃあー!と嬉しそうな声を上げて笑う。
『ふわふわ〜』
「あ?」
ああ、タオルのことか。そういやさっき体拭く時
おおー!て歓喜の声上げて顔埋めてたな。今もそうだし。もふもふだなんだ拘ってる辺りチビは柔らかい感触の物が好きらしい
オレさまがガキの頃はブロックやプラモやらで遊んでたもんだが、女子はぬいぐるみとか好きだよな
拭き取るのはこのくらいで良しとして
後はドライヤーで乾かそうとタオルを取れば、ボサボサの髪とご対面
『は!Aの頭もふわふわ!』
「いや、どう見てもボサボサだろ」
ふわふわタオルすごい…!なんて感動してるとこ悪いがその頭のままにしておくわけにはいかないので櫛で梳かしていく
通りの良い髪はダメージもなく櫛は撫でるように滑る。暫くそうしていると、さっきからAが大人しい。こっから表情は伺えないが大方気持ち良くて浸っているのだろう
穏やかな空気が流れる中、静かになった隙を狙ったかの様に ぐー…。とオレの腹の虫が鳴った
ふと時計を見れば針は8時を指していた
…そういやすっかり忘れてたがもうこんな時間か
そんな事 考える暇もなかったな…
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愛っち(プロフ) - 天使の主人公ちゃんとキバナさんとのやり取りがホッコリします!次の更新頑張ってください‼️ (2022年4月24日 16時) (レス) id: d531dd11f3 (このIDを非表示/違反報告)
ARUPAKA - 夢主ちゃんには幸せになってほすぃ… (2020年1月29日 22時) (レス) id: f3d3ee67c0 (このIDを非表示/違反報告)
sk - 好きです!次の更新待ってます! (2020年1月28日 19時) (レス) id: f3d3ee67c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:流衣 | 作成日時:2020年1月4日 1時