狙撃手の悪夢 ページ46
「杉元さんも、買い忘れですか？…お味噌？」
「うん。アシリパさんが味噌気に入っててさ。また食べさせてあげたくて」
杉元さんはそう言うと、喜ぶアシリパの姿を思い浮かべているのか、照れくさそうな笑みを見せた。
本当に、彼はアシリパのことが大切で仕方ないのだろう。
私も鯉登少尉のことが大切だから、気持ちはわかる。
大切な人のために何かしてあげたいと思うのは当然のことなのだ。
だけど…心の奥でもやもやと黒いものが渦巻いているのを感じる。
みんなに大切にされているアシリパ。私よりもずっと幼いのに、強い意志を持っていて、私よりも多く愛されて、必要とされている。
私だって。私だって、本当なら、今頃─────………。
「Aさん？どうしたの、大丈夫？」
心配そうに声をかけられハッとする。いけない、考え事をしてしまった。
慌てて顔を上げると、杉元さんが私の顔を覗き込んでいた。
「……すみません、少し考え事していて……。大丈夫です」
「…そう？……なんか元気無いみたいに見えるけど……」
「そんなことありません。ほら、早く戻りましょう」
これ以上、心配させるわけにもいかない。私は誤魔化すように笑うと、「行きましょう」と言って杉元さんの前を歩き出す。
「ちょっと待っ……」
杉元さんが何か言いかけたとき、遠くの方で銃声と、誰かの悲鳴が聞こえた。
「銃声……ッ！？」
「Aさん、行こう！」
先程までの穏やかな表情とは異なり、瞬時に杉元さんの目の色が変わった。私たちは互いに目配せすると、すぐさま音の方向へ駆け出した。まるで、何かに引き寄せられるように。
「銃声はこっちの方からしましたよね」
細い路地裏に身を潜め、大通りを二人で覗きみた。
通りの中央には、見知った顔が倒れていた。白石さんだ。彼は足を撃たれてしまったらしく、血を流しながら、痛みに悶えている。
その様子を伺っていると、数発銃声が鳴り響く。鯉登少尉や月島軍曹たちが橇の影に身を潜めていることから、どこからか狙撃されているようだった。
物陰から手を出そうものなら、即座に撃たれることから、相当な手練れであることが窺える。
こんなことができるのは、あの人しかいない。
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塩わさび(プロフ) - くろわっさんさん» コメントありがとうございます。毎日だなんてとても嬉しいです☺これからも宜しくお願いいたします！ (6月18日 21時) (
レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - あもさん» 何を企んでいるんでしょう…😏😏 (6月18日 21時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
くろわっさん - 最高です😭😭😭💖毎日のように読ませていただいております！！これからも楽しみにしています🙇🏻♀️💖💖 (6月7日 0時) (レス) @page43 id: 046a741a21 (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - 尾形さん一体何を・・・。てかいつの間にか尾形さんと鯉登さんとの三角関係に！！？？ (6月6日 22時) (レス) @page43 id: 656bb5ebbb (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - あもさん» ですね☺共感していただけて嬉しいです💕 (6月6日 12時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：塩わさび | 作成日時：2023年5月14日 23時
