再会 5 ページ43
「ゲンジロちゃん！これちょっと見てッ！」
突然、白石さんの声が窓の外から聞こえてきた。ハッとして慌てて手を引っ込める。
「……」
尾形上等兵はじっと外の様子を窺っているようだった。
「時間切れだ」
尾形上等兵は振り返って私を見てそう言うと、徐に立ち上がって鯉登少尉の顔を蹴り上げた。
「鯉登少………んぅッ！？」
思わず彼の名前を呼ぼうとすると、尾形上等兵の黒い瞳と目が合う。突然腕を引かれる感覚がして、気がつくと目の前に尾形上等兵の顔があった。
唇には柔らかい感触が伝わってくる。それが尾形上等兵と接吻をしているということを理解するのに、時間はかからなかった。
「お、ま……何を……っ」
鯉登少尉の戸惑ったような声を聞いて、慌てて尾形上等兵を押し返す。だが、彼は私の抵抗など意に介さず、むしろ私の腰を強く引き寄せた。
角度を変えて何度も口づけをされる。息苦しさに口を開けば、ぬるりと生暖かいものが侵入してきた。それが舌だとわかった瞬間、頭がカッと熱くなった。
「やめて……っ！」
せめてもの反抗で思い切り歯を立てて舌に噛みつくと、ようやく尾形上等兵が離れた。血の味が口の中に広がっていく。
「痛ぇな……」
尾形上等兵はそう呟くと、私を突き飛ばした。受け身を取れずに床に転がると、尾形上等兵はそんな私達を見下ろす。
「今度、鶴見中尉に会ったら…『満鉄』と『赤沢銅山』のことを聞いてみろ」
尾形上等兵はそれだけ言うと、開いていた窓から飛び出していった。追いかけることもできず、私はただ、呆然とその一連を眺めることしかできなかった。
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塩わさび(プロフ) - くろわっさんさん» コメントありがとうございます。毎日だなんてとても嬉しいです☺これからも宜しくお願いいたします！ (6月18日 21時) (
レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - あもさん» 何を企んでいるんでしょう…😏😏 (6月18日 21時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
くろわっさん - 最高です😭😭😭💖毎日のように読ませていただいております！！これからも楽しみにしています🙇🏻♀️💖💖 (6月7日 0時) (レス) @page43 id: 046a741a21 (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - 尾形さん一体何を・・・。てかいつの間にか尾形さんと鯉登さんとの三角関係に！！？？ (6月6日 22時) (レス) @page43 id: 656bb5ebbb (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - あもさん» ですね☺共感していただけて嬉しいです💕 (6月6日 12時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：塩わさび | 作成日時：2023年5月14日 23時
