再会 2 ページ40
「Aッ！」
鯉登少尉が私の名を呼ぶ。だがその直後、ドサッと鈍い音を立てて、彼は私と同じようにその場に倒れ込んだ。医者が再び殴りつけたようだった。
それから尾形上等兵は、素早く鯉登少尉の手を踏んづけると、銃を奪って彼の頭へと銃口を向けた。そして「
「こい……と、しょ………い……」
私は痛む身体に鞭を打ち、何とか立ち上がろうと、彼の方へと手を伸ばす。だが、上手く力が入らない。
「よォ、A。久しぶりだな」
尾形上等兵はそんな私をあざ笑うかのように、口角を上げて言った。
「おが……た、じょうとうへい……」
「日露戦争前ぶりぐらいか？あれから人を殺すのは得意になったか？」
鯉登少尉に銃口を向けたまま、尾形上等兵は私にゆっくりと近づいてくる。まるで、獲物を確実に追い詰めるように。
「………」
「だんまりか。まぁお前のことだ、どうせ数え切れないほど殺してきたんだろうな」
ついに尾形上等兵が側までやってきて、私の髪を掴んだ。そして、無理やり上体を起こされ、自分の方を向かせる。尾形上等兵の黒い瞳が私を捉え、思わず息を飲んだ。
「随分と見ないうちに大人になったな。あの頃はあんなに泣き虫だったのに」
「ッ離、して……ください…」
抵抗しようにも、髪を掴まれていて動けない。それに、下手に抵抗したら鯉登少尉が撃たれてしまうかもしれない。
痛みに顔を歪めながらも、何とか言葉を紡ぎ出す。
「Aッ！尾形百之助、貴様ァ…！！」
鯉登少尉が怒りを露わにして、尾形上等兵を睨みつける。尾形上等兵は動じることなく、鯉登少尉を一瞥すると鼻で笑って見下ろすだけだった。
「それに」
だがそれも一瞬のことで、気がつけば、尾形上等兵はぐっと顔を寄せてきた。彼の吐息が肌に触れる。
「つまらない顔にもなったな」
「……なにを、言って…」
「あの頃のお前の方が、もっといい顔をしていたぜ。いつも貼り付けたような笑みをうかべて、何をされても動じないお前は、まるで人形のようだった」
「………」
「それが今はどうだ。これくらいの痛みで表情を変えるなんざ…まるで普通の人間じゃねえか。一体何がお前を“そう”させたんだ？」
「あなたには…関係ない…ッ」
キッと目の前にいる尾形上等兵を睨みつければ、彼は目を細めて不気味に微笑した。
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塩わさび(プロフ) - くろわっさんさん» コメントありがとうございます。毎日だなんてとても嬉しいです☺これからも宜しくお願いいたします！ (6月18日 21時) (
レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - あもさん» 何を企んでいるんでしょう…😏😏 (6月18日 21時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
くろわっさん - 最高です😭😭😭💖毎日のように読ませていただいております！！これからも楽しみにしています🙇🏻♀️💖💖 (6月7日 0時) (レス) @page43 id: 046a741a21 (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - 尾形さん一体何を・・・。てかいつの間にか尾形さんと鯉登さんとの三角関係に！！？？ (6月6日 22時) (レス) @page43 id: 656bb5ebbb (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - あもさん» ですね☺共感していただけて嬉しいです💕 (6月6日 12時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：塩わさび | 作成日時：2023年5月14日 23時
