故郷の水 2 ページ31
「アシリパとやらッ！！お前を確保するために我々は来た！杉元も我々に協力する取引をしている！私の許可なしに離れるな！」
「ちょっと見てくる！」
「俺も行く」
鯉登少尉の言葉を無視して、アシリパは走って行ってしまった。それに続いて杉元さんも彼女の後へとついて行く。
その拍子で、ドサッと杉元さんが背負っていた人物が地面に落とされた。そんな雑な扱いでいいのだろうかと不安になりつつ、その人物に近づいて確認してみると、身に覚えのある火薬の匂いがした。
「尾形上等兵……！？」
その人物は、尾形上等兵だった。彼は両目を包帯で覆われており、息も絶え絶えといった様子である。確かに、キロランケたちと行動を共にしていたと聞いていたか、どうしてこんな状態でいるのだろう。
そんなことを考えていると、アシリパたちが戻ってきた。その傍らには一人、人数が増えていた。
「ややや？これは皆さんお揃いで！お久しぶりですねぇ」
岩息さんだった。
どうやら杉元さんたちが見たという人影は、彼だったらしい。船での入国は危険だからという理由で、彼も私達と同じような道筋を辿ってきたのだろう。
彼に月島軍曹を運んでもらうように頼むと、彼は快く引き受けてくれた。
「ありがとうございます、岩息さん。大変困っていたので…助かります」
「いえいえ。あなた達とはスチェンカしあった仲ですからねぇ、お安い御用ですよ」
彼はそう言うと、パチンっと片目を瞑った。その仕草に首を傾げつつも、特に気にすることも無く、前を見据えて歩き続ける。
「迷い事はなくなりましたか？」
ふいに、岩息さんがそう言った。私は一瞬何のことか分からなかったが、すぐに以前掌を殴ってみろと言われたときのことだと思い出した。
心なしか、月島軍曹からの視線も感じる気がする。
「…………えぇ、まぁ。吹っ切れたと思います」
「それはよかった」
私が岩息さんに合わせてそう答えると、岩息さんは満足そうに微笑んだ。
「……」
迷いごとなんて、最初からあるはずない。私は私の意思でここに居るのだし、父を殺した男に…そしてその肉親である娘に罪を償ってもらうために、ここまでやってきたのだ。
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塩わさび(プロフ) - くろわっさんさん» コメントありがとうございます。毎日だなんてとても嬉しいです☺これからも宜しくお願いいたします！ (6月18日 21時) (
レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - あもさん» 何を企んでいるんでしょう…😏😏 (6月18日 21時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
くろわっさん - 最高です😭😭😭💖毎日のように読ませていただいております！！これからも楽しみにしています🙇🏻♀️💖💖 (6月7日 0時) (レス) @page43 id: 046a741a21 (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - 尾形さん一体何を・・・。てかいつの間にか尾形さんと鯉登さんとの三角関係に！！？？ (6月6日 22時) (レス) @page43 id: 656bb5ebbb (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - あもさん» ですね☺共感していただけて嬉しいです💕 (6月6日 12時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：塩わさび | 作成日時：2023年5月14日 23時
