故郷の水 ページ30
キロランケの遺体はその後、白石由竹によって流氷で埋葬された。この流氷たちはアムール川の水が凍った氷らしく、キロランケをせめて故郷へ返してやるという彼なりの配慮だった。
「どうしてアチャは死ななければならなかったのか…。本人から聞きたかった。やっぱりアチャがアイヌを殺して金塊を奪ったから？」
「アシリパさん。のっぺら坊は撃たれる直前に…『アイヌを殺したのは自分じゃない』と言ったぜ」
「……。……。……はぁ？」
杉元さんとアシリパの会話を聞いて、思わず声が出てしまった。幸いにも、声が小さすぎて誰にも聞こえていなかったようだが。
のっぺら坊はアイヌを殺していない？そんな訳ない。あの男は、仲間のアイヌを何人も殺すような、極悪非道で無情な人間に決まっている。
でなければ……どうして私の父は殺されなければならなかったんだ。
「月島ァ！！しっかりしろ！！」
突然、鯉登少尉の大きな声が聞こえてきた。声の方を見てみると、月島軍曹が膝をついていた。本人は大丈夫だと言っているが、顔色は悪いし、息も荒い。
慌てて駆け寄って、彼の背中に手を当てる。
「月島軍曹！大丈夫ですか！！」
「あぁ……」
「ひどい傷だ。よくここまで立っていられた」
「急いで亜港へ引き返すぞ。谷垣、お前背負えるか？」
鯉登少尉も腕と胸を怪我をしていて、月島軍曹を背負えない。だが、谷垣さんも腹や顔をやられたのか、運べなさそうだった。
残る男性は杉元さんと白石だけだが、杉元さんは既に誰かを背負っているし、白石では無理だろう。
一度亜港に戻って、犬橇に乗せて行く？
…いや、それでは月島軍曹も持たない。
…なら、白石と私の二人がかりで月島軍曹を支えて亜港まで歩く…？
……白石がいれば、なんとかなるかもしれないが、彼にはそんなことをする道理がない。
どうすればいいのか悩んでいると、「あ！向こうに人影がある！」とアシリパは遠くの方を指で指した。
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塩わさび(プロフ) - くろわっさんさん» コメントありがとうございます。毎日だなんてとても嬉しいです☺これからも宜しくお願いいたします！ (6月18日 21時) (
レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - あもさん» 何を企んでいるんでしょう…😏😏 (6月18日 21時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
くろわっさん - 最高です😭😭😭💖毎日のように読ませていただいております！！これからも楽しみにしています🙇🏻♀️💖💖 (6月7日 0時) (レス) @page43 id: 046a741a21 (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - 尾形さん一体何を・・・。てかいつの間にか尾形さんと鯉登さんとの三角関係に！！？？ (6月6日 22時) (レス) @page43 id: 656bb5ebbb (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - あもさん» ですね☺共感していただけて嬉しいです💕 (6月6日 12時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：塩わさび | 作成日時：2023年5月14日 23時
