狼に追いつく 2 ページ22
「おいおい……流氷の上を逃げたというんじゃなかろうな？」
「リュウがあっちと言うなら俺は信じるぜ」
鯉登少尉も私と同じことを思ったのか、そう言うと、杉元さんは私達とは違ったようで、じっと流氷の先を見つめる。まるで一本の線が、杉元さんと流氷の先にいる誰かに繋がっているように。
きっと杉元さんは、アシリパと強い絆で繋がっている。だから、ひしひしと感じているんだ。この先にアシリパがいるということを。
「………」
そんな彼を見て、私は何も言えなかった。ただ、黙って彼の隣で、流氷の先を見つめるしかなかった。
「「ワーッ！！」」
「どうしたんだお前たち……うわうッ！！！」
いざ私達が流氷の方へと足を向けると、突然子どもたちと谷垣さんの叫び声が聞こえた。どうしたんだろう、と思ってその方向へ顔を向けると、空いた穴から低い唸り声と共に、大きなトラがいた。
「トラッ！？」
「鯉登少尉殿、チカパシくん、エノノカちゃん！下がってください！！」
私と谷垣さん、月島軍曹は咄嵯に身を屈め、銃を構える。照準をトラに合わせて発砲するも、向こうの動きが早く、逃げられてしまった。
「鯉登少尉殿ッ！ご無事ですか！？」
「…あぁ。何とかな」
「エノノカちゃんたちも大丈夫ですか！？」
「うん！！Aカッケマッのおかげで平気！」
私達は、それぞれ怪我の有無を確認すべく、互いの顔を見る。幸い、誰も大きな傷を負うことはなかった。
「しかし、あれは一体……」
「またあのトラが戻ってきたら厄介だ。今のうちに犬橇で流氷の上を渡るぞ」
私達は、再び犬ぞりに乗り込むと、一気に流氷の上を走り出す。今は何よりもアシリパたちの行方のほうが優先だ。
こうしてしばらく犬橇に乗っていたが、途中で流氷もでこぼこしたものへと変わっていく。それに伴って、天候も荒れ始めてきた。
このまま犬橇で進むのは、危険だと谷垣さんが言う。しかし、杉元さんは、近くにいるはず、今なら追いつけるといってリュウを連れて先に行ってしまった。
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塩わさび(プロフ) - くろわっさんさん» コメントありがとうございます。毎日だなんてとても嬉しいです☺これからも宜しくお願いいたします！ (6月18日 21時) (
レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - あもさん» 何を企んでいるんでしょう…😏😏 (6月18日 21時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
くろわっさん - 最高です😭😭😭💖毎日のように読ませていただいております！！これからも楽しみにしています🙇🏻♀️💖💖 (6月7日 0時) (レス) @page43 id: 046a741a21 (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - 尾形さん一体何を・・・。てかいつの間にか尾形さんと鯉登さんとの三角関係に！！？？ (6月6日 22時) (レス) @page43 id: 656bb5ebbb (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - あもさん» ですね☺共感していただけて嬉しいです💕 (6月6日 12時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：塩わさび | 作成日時：2023年5月14日 23時
