無自覚 4 ページ14
「それは失礼いたしました…。でも、鯉登少尉ほど素敵な殿方なら、いずれお相手の方も振り向いてくれるのではないでしょうか」
「……いや…。相手の眼中にすら入っていない……と思う……」
「えぇ……」
鯉登少尉の言葉は意外すぎた。
あんなにも女性に囲まれていて、しかも、その女性たちは皆一様に鯉登少尉に夢中に見えるのに。なかなかに手強いお人なのだろうか。一体、どんな女性が相手だというのだろう。
「その方に好意を示さないのですか？」
「示しているつもりなんだが……。全く気付いてくれない」
そんなことあるのかな。いやでも実際、気づいていないのだから仕方ない。
「…なら、好意の伝え方を変えてみるのはいかがでしょう。もしかしたら、直接的に伝えないと、伝わらない方なのかもしれません」
私がそう彼に言うと、谷垣さんと杉元さんはウンウンと深く相槌を打っている。
その言葉を聞いて、鯉登少尉は「なるほど」と呟いて、考え込むような仕草をした。
「…ところで、鯉登少尉殿はどのような方が好みなのですか？差し支えがなければ教えてください」
私は、ふと興味が湧いて聞いてみた。すると、鯉登少尉は「キェッ」と顔を真っ赤にして狼惑する。
心なしか、場の空気が凍っている気がするのは何故だろう。途中から別の話をしていた杉元さんと谷垣さんも、興味なさげにしていた月島軍曹までもがこちらを見つめていた。
鯉登少尉は、しばらく視線を彷徨わせていたが、やがて観念して口を開いた。
「私は……」
ゴクリと、唾を飲み込んだ。
「そ、その………」
「……？」
「わ、私は…なんていうか…………A…のような……！！」
「私…？」
私みたいな女性など、この世にごまんといるだろう。それよりももっと美人で、性格もいい女性はたくさんいるはずだ。
なのに、どうして私の名前を出したのだろう。
「おおっ！！遂に言った！！」
「これで一歩前進だな！」
杉元さんたちは、何故か盛り上がっている。谷垣さんに至っては拍手までしている始末だ。
もしかしてみんなもう、食べ終わったのだろうか。だとしたら、このままでは料理が冷めてしまうかもしれない。
「そうなんですね。それよりも、早く食べちゃいましょう」
再び、空気が凍ったような気がした。
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塩わさび(プロフ) - くろわっさんさん» コメントありがとうございます。毎日だなんてとても嬉しいです☺これからも宜しくお願いいたします！ (6月18日 21時) (
レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - あもさん» 何を企んでいるんでしょう…😏😏 (6月18日 21時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
くろわっさん - 最高です😭😭😭💖毎日のように読ませていただいております！！これからも楽しみにしています🙇🏻♀️💖💖 (6月7日 0時) (レス) @page43 id: 046a741a21 (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - 尾形さん一体何を・・・。てかいつの間にか尾形さんと鯉登さんとの三角関係に！！？？ (6月6日 22時) (レス) @page43 id: 656bb5ebbb (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - あもさん» ですね☺共感していただけて嬉しいです💕 (6月6日 12時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：塩わさび | 作成日時：2023年5月14日 23時
