知りたくない ページ1
次に目を覚ました時、窓から差し込む光で既に朝になっていることに気づいた。
ゆっくりと身体を起こすと、昨日感じた頭痛はすっかり消えていて、倦怠感もほとんどなくなっていた。
きっと、熱が下がったのだと思う。
ふと横を見ると、そこにはベットに突っ伏して眠る鯉登少尉の姿があった。昨晩繋いでくれた手は、未だにしっかりと握られており、昨日の出来事が夢ではなかったことを物語っていた。
おそらく、約束通り、一晩中そばにいてくれてたのだろう。
申し訳なさと同時に、胸の奥底からじわじわと温かい気持ちが広がる。
起こさないようにそーっと手を解くと、眠っている彼の顔を見つめた。
長いまつ毛に整った鼻筋、意志の強さを表すような太い眉。改めて見ると、本当に端正な顔立ちをしていると思う。
「……ん……」
そんなことを考えながらじっと見入っていると、不意に鯉登少尉殿が身動ぐ。そして、ゆっくり目を開けると、ぼんやりとした様子で辺りをキョロキョロと眺めた後、こちらに視線を向けた。
「……起きたのか」
「はい。おはようございます」
「体調は？」
「もう平気です」
「そうか」
彼はそう言うと、ベットに腰掛けて、私のおでこに手を当てる。
「うん、確かに下がっているようだな」
「ご心配をおかけしました」
「ふん。全くだ」
「申し訳ありません…」
「……まぁ、元気になったようで良かった」
彼は少し照れたようすで、プイと目を逸らした。
……もしかして、彼なりに気にしてくれていたのだろうか。
そう思うと、なんだか嬉しくなって笑みが溢れると、ちょうど部屋をノックする音が聞こえてきた。
「はい」と返事をすると、扉が開かれ、見知らぬ異人の女性が部屋に入ってきた。彼女は私を見るや否や、目を見開いて嬉しそうに何かを言って、声をかけてくる。おそらく、ロシア人なのだろう。
だが、生憎ロシア語がわからないので、何を言っているのかよくわからなかった。
私が戸惑っていると、女性の後ろから、月島軍曹がひょっこりと姿を現す。
「A。目が覚めたのか。具合はどうだ？」
「はい。おかげさまで、だいぶ良くなりました」
「礼ならこのご婦人に言え。彼女が、お前を介抱してくれたんだ」
「この人が……」
月島軍曹の言葉に、私は思わず女性をみた。
ふくよかな体型に、笑顔を浮かべている女性は、優しげな雰囲気をまとっており、どこか母性を感じさせる人だった。
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塩わさび(プロフ) - くろわっさんさん» コメントありがとうございます。毎日だなんてとても嬉しいです☺これからも宜しくお願いいたします！ (6月18日 21時) (
レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - あもさん» 何を企んでいるんでしょう…😏😏 (6月18日 21時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
くろわっさん - 最高です😭😭😭💖毎日のように読ませていただいております！！これからも楽しみにしています🙇🏻♀️💖💖 (6月7日 0時) (レス) @page43 id: 046a741a21 (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - 尾形さん一体何を・・・。てかいつの間にか尾形さんと鯉登さんとの三角関係に！！？？ (6月6日 22時) (レス) @page43 id: 656bb5ebbb (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - あもさん» ですね☺共感していただけて嬉しいです💕 (6月6日 12時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：塩わさび | 作成日時：2023年5月14日 23時
