危機感 5 ページ46
「油断するな。私だって男だ」
そう言って、鯉登少尉は私に覆い被さるようにして、私の顔のすぐ横に両手をつくと、顔を近づけてきた。
口づけされてしまう。そう思って咄嵯に顔を背けると、耳に吐息がかかった。
「ッ！？あッ……！？んんッ！？」
鯉登少尉は、ふーっと耳に息を吹きかけると、舌でぺろりと舐めた。ぞわぞわとした感触が背中を駆け抜けていく。未知の刺激に耐えられず、声が漏れる。恥ずかしさと気持ちよさが混ざり合って訳が分からなくなり、目に涙が滲む。
「A」
名前を呼ばれて恐る恐る顔を上げると、至近距離に鯉登少尉の端正な顔があって、息を飲む。
───────Aちゃん。
脳裏に、“彼”の声が響いて、目の前の鯉登少尉と重なった。“彼”が生きていたら、こんな風に鯉登少尉みたいに、私の名前を呼ぶのだろうか。
鯉登少尉の唇がだんだん近づいてきて、もう少しで触れそうになったとき、咄嗟に“彼”の名前を呟いた。
その名前を口に出した瞬間、鯉登少尉の動きがぴたりと止まる。
「……。…泣くな」
鯉登少尉は、そう呟いたあと、ゆっくりと顔を離した。私はいつの間にか泣いてしまったらしい。ぽつりと落ちた雫がシーツに染みを作っていく。
「これでわかっただろう。男は皆獣畜生だ。優しい人間など存在しない。……私含めな。特にお前のような若い女は狙われやすい」
「…………」
私は、呆然としながら鯉登少尉を見た。彼は真剣そのものといった表情だが、どこか苦しそうだった。
「だから、もう二度とあんな真似をするんじゃない。警戒心を常に持て」
「……はい」
私が返事をして起き上がると、鯉登少尉も体を起こして、私の頭をぽんと叩いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 133人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
塩わさび(プロフ) - あもさん» 雄みある、押せ押せ鯉登少尉にしてみました👏👏 (2023年3月12日 16時) (
レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - 鯉登さーーーーーーんッ(；ﾟДﾟ) 鯉登さん夢主と急接近しまくりでもうパニック！！！ (2023年3月5日 20時) (レス) @page41 id: 656bb5ebbb (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - あもさん» 本音がポロっと出ちゃいましたね…😳💕 (2023年2月22日 20時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - まっ///鯉登さんべた褒めですな〜♡♡♡ (2023年2月19日 19時) (レス) @page18 id: 656bb5ebbb (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - あもさん» コメントありがとうございます。やっとこさ仲直り（？）できました🥰 (2023年2月11日 20時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：塩わさび | 作成日時：2023年2月10日 22時
