危機感 2 ページ43
「どうかされましたか？」
「『どうかされましたか？』ではないッ！！年頃の娘が男の部屋に入ってくるんじゃない！！」
「？どうしてですか？」
「どうしてもこうしてもあるか！！何かあったらどうするんだ？！」
「何かって……何も起きませんよ？」
何を言っているんだろうと首を傾げていると、鯉登少尉はため息をついて、頭を抱えた。
なんでこんなことを言われているのかわからない。
私だって、男の部屋に入ったことくらいあるし、そもそもの話、兵舎は男だらけなのだ。今更気にすることなんてないだろうに。
そう思って、不思議に思っていると、鯉登少尉はまたもや大きくため息をつくと、観念したように「もういい……」と呟いて、同じように部屋に入った。
部屋の中に入ると、鯉登少尉はベットに座って、向かい合うようにして椅子に座るように促されたので、言われた通りにする。
「ん」といって鯉登少尉が投げやり気味に差し出した右手に、エノノカちゃんたちから貰ったヒグマの油を、彼の手に自分の手を添えるように包んで塗っていく。すると、ビクッと鯉登少尉の身体が跳ねた。
「痛かったですか？すみません……」
「い、いや…大丈夫だ」
鯉登少尉はそう言うと、黙り込んでしまった。お互いに無言のまま、手当てを進めていく。
彼の手は、ごつごつとしていて大きい。それに、すごく温かい。触れている部分が熱くて、心臓の音が大きくなっていく。
ふと顔を上げると、鯉登少尉と目が合った。すると、鯉登少尉は慌てて目を逸らす。
「…お、お前は……もっと危機感を持った方がいい」
「そうでしょうか？」
「そうだ。……いくらあんな状況とはいえ、あんな格好で抱きつくなんて……。…。…」
鯉登少尉は、そこまで言って、急に言葉を詰まらせた。視線は私の胸元あたりを彷徨っていて、落ち着きがない。
「…鯉登少尉殿？」
「…な、なんでもない！！！そんなことよりも、以前何回も言ったことをもう忘れたのか！？」
「それは覚えていますけど……」
鯉登少尉が言ったこととは、おそらく“男は皆獣”、“気安く男に触るな”ということだろう。
「じゃあ、何故同じ過ちを繰り返す？！」
鯉登少尉の剣幕に押されて、思わず身を引く。だが、すぐに距離を詰められて、逃げ場を失ってしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 133人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
塩わさび(プロフ) - あもさん» 雄みある、押せ押せ鯉登少尉にしてみました👏👏 (2023年3月12日 16時) (
レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - 鯉登さーーーーーーんッ(；ﾟДﾟ) 鯉登さん夢主と急接近しまくりでもうパニック！！！ (2023年3月5日 20時) (レス) @page41 id: 656bb5ebbb (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - あもさん» 本音がポロっと出ちゃいましたね…😳💕 (2023年2月22日 20時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - まっ///鯉登さんべた褒めですな〜♡♡♡ (2023年2月19日 19時) (レス) @page18 id: 656bb5ebbb (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - あもさん» コメントありがとうございます。やっとこさ仲直り（？）できました🥰 (2023年2月11日 20時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：塩わさび | 作成日時：2023年2月10日 22時
