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その数週間後。サマーライブ用の曲が出来た私は、Eveの2人を呼び出して、デモ音源を聴いてもらった。
「曲のイメージはこんな感じ。明るく爽やかで、かつEveらしさを取り入れてみた。何か意見があったら、遠慮なく言ってほしい」
音源と楽譜を照らし合わせながら、聴いていたEveの2人。
一時黙りこくっていた2人だったが、「うん」と一言日和くんが口を開いた。
「Aメロのところの、この3音。段々上がっているけど、2音目と3音目は同じ音程の方がいいと思うね」
「……あぁ、成程。この部分ね」
日和くんからの指摘を受け、私は楽譜に赤ペンで指摘箇所を書き直す。
一度喋り始めた日和くんは、止まらない。
気になったところをどんどん指摘してきてくれるため、全てを肯定する人よりも全然助かるのだ。
ここで私は、先程からずっと黙っている漣くんを横目で見た。
(あぁ！何か言いたそうな顔してるっ！でも日和くんが発言してるから言えないんだね漣くんっ！)
私は正面に座っている日和くんの足を蹴り、「1回黙って」と目で訴えると、漣くんと目を合わせた。
「漣くんは、何かある？ここが気になるとか、歌いにくいとか、些細な事でも遠慮なく言っていいから」
「あ、じゃあ。ここのBメロの部分なんスけど……」
おずおずと、申し訳なさそうに楽譜の一部分を指さしながら、遠慮がちに指摘し出す漣くん。
……いや可愛い。
もぉ〜遠慮なく言ってって言ったのに、何で君はそんなに可愛いんだい？
彼の隣に座っている日和くんも、まるで我が子を見守る親のような視線を漣くんに向けている。
「……って感じにしてもらいたいんですけど」
「可愛いね、漣くん」
「はい？」
「普段がしっかりしている分、こういう所で後輩属性を発揮してくれて、私は嬉しいよ」
私がいない時は、ずっと日和くんのお守りをしてくれているし、元々がしっかりしているから、今「あぁ。彼も年下なんだ」と実感出来た事に喜びを感じる。
「でもね、今目の前にいる私は、”玲明学園の私”や”プロデューサーの私”じゃなく、”作曲家の私”として漣くんたちと対等な立場でここにいる。そして、今作っているのは漣くんたちが歌う曲なの。だから、遠慮なく言って。意見が食い違っても、私が上手くまとめるから大丈夫」
「すいません。ありがとうございます」
遠慮のいらない関係を、築いていこう。
一歩ずつ、半歩でもいいから。
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リア(プロフ) - 最高に面白いです！日和が可愛すぎる！！！更新楽しみに待っています(^^) (2020年1月24日 17時) (
レス) id: f94faaa2fc (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 凄く私好きな話だと思います！滅茶苦茶好きになりました！！更新待ってます。頑張ってください！！ (2020年1月23日 6時) (レス) id: 1d868b34d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水神友花 | 作成日時：2020年1月19日 12時
