目と目があえば恋に落ちる【あんスタ】

10.課題は山積み ページ10

「どういうことなの日和くん！！！！！」

バシンッ！！
彼の目の前に立ち、思い切り机を叩けば、日和くんの肩がビクリと跳ねた。そんでもって私の手の平もめっちゃ痛い。

痛い痛いと手の平を擦っていれば、彼は若干可哀想なモノを見るような目で「朝から煩いね？」なんて私を見る。普段の君の方が喧しいんだけどな。


「えぇと…それでどうしたの？Aちゃん」
「どうしたもこうしたもないよお！昨日貰った！ライブ！！映像！！！」
「うん…？」




「すっごく良かったよぉ……！！」

彼の肩を掴んでゆさゆさと揺らせば、太い声で「ギブギブギブ！！！」と叫ばれる。甘い囁きのアイドルはどうしたんだ……ある意味最近の女子高生っぽかったけども。


「…というか、ちゃんと見てくれたんだねぇ」

日和くんは嬉しそうに目を輝かせたかと思えば、次の瞬間には「格好良かった？」「あの曲の僕のダンスどうだった？」「あそこのソロが！」なんて褒めて褒めてオーラを飛ばしてくる。
取りあえず頭を撫でてやれば、彼は満足気に笑った。あら可愛い〜




「…が、しかし！！」


ドンともう一度音を立て、机の上にノートを開く。
満足そうな顔で笑っていた日和くんは、それを見た瞬間に「えっ？」と情けない声を漏らし、口元を引き攣らせて。


「大変良かったけども、まだまだ安定性はないし、課題が多い！だからそれを私なりにまとめてきました！！

ということで日和くんの課題はこのページね！
特に目立ってたのは二曲目のラスサビ前のターン！！あそこはぴしっと決めて格好よくキメなきゃ勿体無い。あと、歌は抜群に良いけど、セトリの終わりに行くにつれダンスのキレがなくなる！体力不足なのがバレバレ！女性らしさを推してるのもわかるけど、まずは体力作りだよ！！」


もう一度机を叩き日和くんと向き合う。
彼は瞬きもせずぱっちりとその大きな目を見開いているから、不思議に思ってお〜いなんて顔の前で手を振ってみる。
その瞬間、みるみる目から涙が溢れだしてきて……

「え、ちょ、日和くん！？ごめ、強く言い過ぎた！？」

慌ててハンカチで頬を拭うが、しばらくは止まりそうにない。困りに困って私まで泣き出しそうになれば、ぐいと腕を引かれ、椅子に座る日和くんに腰のあたりを抱き締められて。

「…日和くん？」

鼻をすする音が聞こえるだけで、彼は何も言わない。

まあ、私にも非はあるし…

お腹に押し付けられるふわふわの髪の毛を撫でれば、彼は何も言わずに腕の力を強めた。

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