39.自己流おまじない ページ39
本番まで残り数十分。予定通りに進んでいれば、既にお客さんの会場入りが始まってる時間帯である。珍しく、私たちの楽屋にも少しピリピリとした空気が流れていた。
先程から入念にストレッチを続けているのが日和くんと凪砂さんで、その横に座って、例の如くタブレットを弄っているのが七種くん。
三人ともかなり集中しているらしい。
いつもと反して一切の会話がない楽屋はなんだか新鮮で、ちょっと居心地が悪くて。
助けを求めるように隣を見れば、準備万端といった様子でスマホ画面を眺める漣くんの姿があった。
私と並んでソファに座る彼は、先程からず〜〜〜っとこんな感じだ。いつもなら最後の最後まで身体を動かしているタイプなのだが…………う〜ん?
「漣くん、さっきからずっと座ってるけどいいの?もうすぐ始まるよ?」
そんなもん個人の自由だとはわかっているものの。
流石に心配になっておずおずと尋ねれば、彼は歯切れ悪く「…すねぇ」とか返す。…いやいやいや、もうすぐスタンバイよ?いいの?いいんか?
「…あっもしかして漣くん緊張してる!!?」
「煩いっすねぇその口塞ぎますよキスで」
「ごめんて待って図星だったからって怒らないで近付いてこないで」
他の三人の手を煩わせないためにもと、何とか自力で漣くんを引き剥がして座り直す。
最早慣れたものである。………いや、全く慣れたくなかっとけど……って違うそうじゃなくて!!!
「漣くん手貸して!」
「…えっと?」
「漣くん手ェ貸して!!!」
怪訝そうな顔は無視してほぼ無理やりその手を引っ張る。
巷でよく聞く"手のひらに人を書くやつ"をやってみれば、「意外とそういうの信じるんすねぇ」とか少し馬鹿にしたように笑われて。
煩いなぁとは思いつつ、スゥとその人の字を飲み込む。
「は?」
「え?」
徐々に顔を赤くして口をパクパクする漣くんに、「金魚の真似?」と尋ねれば「そうじゃなくて」と怒られる。いや何故???
「その、飲み込むのって俺がやるんじゃ…」
「そマ?」
えっ、本人が飲まなきゃ意味ないの?
というかそもそも書くところから本人がやるべき??
マジで???
「え、あの、これで効かなくなったらごめ…
…って待って漣くんなんか顔赤いし汗でてない!?大丈夫!!?そろそろ移動時間だけど出れる!!?スタッフさん呼ぼうか!!?」
「 ( 別の意味で心臓うるせ〜〜〜… ) 」
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琉星(プロフ) - ストーリーとても面白かったです!完結お疲れ様でした!Eden好きなのでめっちゃ読み進められました‼︎これからも頑張って下さい‼︎ (2022年4月7日 2時) (レス) @page50 id: 7ae148b3cd (このIDを非表示/違反報告)
結 - ありがとうございます!素敵な作品を作って下さって本当にありがたいです!これからも頑張って下さい! (2021年6月20日 13時) (レス) id: de81aa094a (このIDを非表示/違反報告)
繕*(プロフ) - アニメ大好き!九喇嘛朱雀♪さん» そう言っていただけて嬉しいです!私もEdenが一番です笑コメント有難うございます、これからも頑張ります! (2020年3月20日 13時) (レス) id: 22ad2b6ffc (このIDを非表示/違反報告)
アニメ大好き!九喇嘛朱雀♪ - 私、凪砂くん推しなんですけど最高でした!Edenの皆大好きで、他のユニットも好きなんですけどEdenはズバ抜けて好きなんです!他の作品も待ってます!これからも頑張ってください! (2020年3月19日 21時) (レス) id: cca3220680 (このIDを非表示/違反報告)
繕*(プロフ) - 胡蝶蘭さん» そう言って頂けて光栄です…!コメント頂くのも二度目ですよね…?本当にここまでお付き合い下さり有難うございました!また別の作品でお会いできれば嬉しいです。コメント有難うございました。 (2020年3月16日 21時) (レス) id: 22ad2b6ffc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:繕 | 作成日時:2019年8月23日 15時