目と目があえば恋に落ちる【あんスタ】

26.対話 ページ26

「そんな顔で見ないでよ、立花Aさん」
「ﾅﾝﾃﾞﾅﾏｴｼｯﾃﾙﾉｺﾜｲ」
「フフ、日和くんからよく話は聞いていたからね。興味本位で色々調べさせてもらったよ。」
「プライバシーという言葉を知らないの？この人」

生まれてこの方初めて出会ったよ、ここまで他人のプライバシーを考慮してくれない人間…

普通にドン引きしてしまったが、目の前の美男子は笑顔を崩すことなく、「随分と口が達者なんだね？更に気に入っちゃった」なんて言い退けた。
ナチュラル跡部景吾やめてくれ。現実で初めてみたわ。

どういう魂胆なのかと顔を顰めれば、彼はう〜んと悩むような素振りをして、少ししてから「あ！」なんて、態とらしくその手を合わせた。


「そうだなぁ、100…200……幾ら出せばこっちに来てくれる？」
「はい？」
「ウチは日和くんの所よりも出せると思うけど」


にこり、彼はその整った顔面で綺麗に微笑んだ。


…何だ、この人、私がお金で動く人間だと思ってるの？


流石に頭にきて睨みつけるが、彼はやっぱり笑みを浮かべて首を傾げるだけ。それが悔しくて更に視線を険しくすれば、彼は馬鹿にしたように笑って口を開いた。


「…あ、もしかして僕は今、睨まれているのかな？
怖くなさすぎて何もリアクションできなかったんだけど…申し訳ないことをしたね。今からでも怖気づいて上げた方がいいかな？」


( …ばッ、ばッ、馬鹿にしやがって〜〜〜ッッ！！！！！ )


な、何なんだこいつ！？感じ悪いを通り越して、性格歪みすぎでしょ！？こんな人と日和くんに何で接点があった訳！？

日和くんの方が全然可愛げあるからね！！だってこの歳であんなに嬉しそうにキッシュ食べるんだよ！！？そんなことある？？？！！！いやない！！！(反語)


「Aちゃん、もしかして今失礼なこと考えてない？」
「いやめちゃくちゃ褒めちぎってる」
「昔から思ってたけどAちゃんってだいぶズレてるよね！！」

あんなの放ってもういくよ！などと日和くんが再度私の腕を取る。
私だって放って行きたかったけどさ、向こうさんが勝手に話し始めたんだよ………いやもう本当に無視して行くけどもね！！話しかけられても無視するけどもね！！


「あの」
「なんだよしつこいな！！？こっちは忙し……んえ？」


聞こえた声は先程より少し低い、高圧的なものだった。

驚いて振り返り金髪さんを見るが、彼はぱちくりと瞬きをするだけ。…となると…



「あの、さっきの、聞き捨てならないんすけど」


お顔が怖いです、漣くん…

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