死神さんの気まぐれ短編集【２】 (ページ19)

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【歌えない天使】ページ19

※主天使設定

※天使の目青設定

《貴女side》

｢〜〜～♪｣

天界の湖のほとりで今日も上手いとは言えない歌声で歌う天使が１人

ここには誰も立ち寄らないため１人でゆっくり歌の練習ができる

天界では完璧が当たり前

完璧ではない天使は皆から見放される

この完璧とは言えない天使はまだ見放されていないものの、『なぜできないの？』『皆はできているのに』と毎日上司に怒鳴られる

普通は心が折れてしまうかもしれない

しかし天使は諦めず合間を縫ってここへ来て歌の練習をする

誰にも見られなければ誰からも評価はされないというのに

｢〜〜〜♪･･･はぁ｣

これだけ練習してもまだ上達しない歌声に思わずため息が出る

｢なんで皆と同じように歌えないんだろう･･･｣

俯くと水面に映る自分と目が合う

肌も輪も瞳も皆と同じ色をしているのに

歌声だけが違う

そのひとつだけで皆と大差がつく

｢･･･そろそろ歌の時間だ。戻らなきゃ｣

重い腰を持ち上げ湖をあとにしようとするとひとつの光が目の前に降ってきた

このような光は天界ではあちこちに浮いている

しかしここまで光を放つ物はそうそうない

天使は光を求め手を伸ばした

するとありえない程強い光を放ち天使を包み込む

あまりの眩しさに目を瞑ると一言だけ、どこからか声が聞こえた

『__________ようこそ、#コンパスへ』