嫌いなアイツ【黄瀬涼太】 (ページ12)

今日:13 hit、昨日:2 hit、合計:67,565 hit

011 ページ12

・

『あんなに嫌いなの態度に出されたら嫌いだって気づくし、だから私も嫌いになったし。だけど、アイツに嫌われるようなことした筋合いもないし』

「多分ですけど、黄瀬くんあの頃女の子すごい嫌ってましたし」

『だからって私マネージャーだよ？』

「そこは黄瀬くんが悪いです。桃井さんとは上手くやっていたんですけどね…」

『あー、ムカつく。ほんとムカつく』

やっぱり私には無理じゃないかなあ、って。

だけど幸男とメールしていて、幸男がどれだけバスケが好きでどれだけこのチームが好きなのかも知っている。

このチームで勝ち上がりたい彼らを、私が足を引っ張る訳にもいかなくて。

「あー！いたいた黒子っち、こんなとこに…って、」

嫌いな奴の話をしていたら、その嫌いな奴が目の前に現れる、なんてさ。

明らかに嫌そうな顔をした癖に、私なんか見えていないというように黒子くんに近寄る彼。

「聞きたいことあって！少し話さないっスか？」

黒子くんの手を取って、私と距離をとった。

『…意味わかんない』

こうやって、中学の頃から。

みんなでアイスを買いに行った日とか、並んで帰った日とか。

同じ輪の中にいてもなんとなく私を孤立させようとして。
本人にそんな気はないのかもしれないけど。無意識だとしてもタチ悪い。

・