25日目 ページ26
んっ、なに……？
体があったかい、全身がポカポカする。
それにこの香りも知ってる。
あたしが一番大好きで仕方がない、
甘くてちょっとビターな大人の香り。
ｽﾝｽﾝｯ。
ふふっなぁんだ、やっぱりそうじゃん。
そっと目を開けると思った通り。
大好きな大好きな彼だけの特別な香り。
「ふふっ、まふの匂いだぁ〜…」
その香りをフヨフヨと漂わせていたのは、
紛れもなく気持ちよさそうに隣で寝ている彼だった。
ぎゅうっ。
「ん、くるしぃ……まふ」
そして体がやけに暖かい理由。
それは、
彼に体ごと抱き抱えられては抱き枕のように寝ていたから。
「ん、んん〜取れないぃ……あ、取れた」
やっとの思いでまふの拘束から自由になった片腕。
……って言ってもまだ体はほとんどまふに捕まったまんま。
あまり最初と変わらない。
「もぉ〜まふ起きてぇ……あっ、ふふっ」
声をかけても全く起きる気配がない彼に、
少しだけ悪戯心が芽生えた。
「今からまふの顔にお化粧をしまぁ〜す」ｺｿｯ
ドキドキと緊張しながらもそっとまふの肌に触れてみる。
「やわらかい……」
今までだって1度もお化粧なんてした事ない。
なのに今、目の前にある整った彼の顔を使ってお化粧の真似をしようとしている。
「まずは……ファンデーション？」
一番初めと言ったらやっぱり下地とファンデーション。
これが無ければ何も始まらないのは知っている。
「ポプ、ポフ……ふふっ、できた」
次は……あれかな、アイライン？
目をつぶってることを良いことに、
優しくスルっと人差し指でなぞる。
ま「……ん、」
ソっと目元をなぞった瞬間、まふの瞼がぴくっと動いた。
やば。
起きた？
「………まふ？」
ま「……………」
そっと声を掛けても彼からの返事は返ってこない。
あまりの緊張感にニタァっと笑いそうになるのを我慢する。
「次はチーク……ピンクでいっか」
それに調子に乗って、
次はポンポンとまふのほっぺたに可愛いピンクを想像させたチークをのせる。
そして最後は……、
決めてとなるのはやっぱりこれ。
「口紅…………」
真っ赤なそれを唇に、端から端まで綺麗に塗っていく。
「よし……で、きた………………ふぇ？」
ボフンッ。
その瞬間、両手首を強く掴まれて、
そのままぐわんとベットに押し付けられた。
"ねぇ、"
ま「なに、してるの？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2354人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いるよ - 最高過ぎました… (2022年12月5日 19時) (
レス) id: 7464634473 (このIDを非表示/違反報告)
千華(プロフ) - 未成年だから途中まで！また成人して覚えてたら見に来ます！ (2021年5月25日 17時) (レス) id: ff1aa8f056 (このIDを非表示/違反報告)
しふぉ - このお話が好き過ぎてまた見に来てしまいました。 (2021年2月7日 2時) (レス) id: 19d2dfc8bd (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 良かったです。また書いてくれると嬉しいです。 (2020年12月11日 12時) (レス) id: c11f1036fc (このIDを非表示/違反報告)
。。みかん - あの、後日談みたいな成長した主人公ちゃんと歌い手たちの話が欲しいと切実に思いました。もう、、あの、本当、、、好きです。（唐突な告白） (2020年11月29日 21時) (レス) id: 301c148c11 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：羽鳥 | 作成日時：2017年10月23日 3時
