たとえばこんな。の、たとえばこんな。【ars+D.a】完結

18.タオル ページ18

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結局、契約も何もして無いのに『お土産』って頂いてしまったチェリー不動産のタオルは





真っ白いタオルの端っこに『チェリー不動産』の文字とさくらんぼのマークがあって





レトロ感漂う銭湯が似合いそうなデザイン。






「わぁ！可愛い！」





そう言った私に翔くんは楽しそうに笑いながら






「やっぱAちゃん見る目あるわ(笑)楽しみにしてる。」





そう言ったけど・・・何を楽しみにしてるんだろ。







「つうか、Aちゃん昼ご飯食べた？」






チェリー不動産を出た所で有岡くんがお腹をすりすりしながら言う。





「あ、まだ食べてない。有岡くんも？」


「うん、散髪終わってから行こうと思ってたから。」


「あ、ごめんね。私が探検に付き合わせちゃったから・・・」


「あ、違う違う。まだ食べてなくて良かった。一緒に食べに行こ。」






にこっとしながらそう言ったのと同時に





何故かまた私の手を握って歩き出した有岡くんだけど






「あのっ！手っ！」





思わず言ってしまう。





だって、なんか、ドキドキしちゃうんだもん。






「あ、ごめん。やだった？」





振り返りぱっと手を離した有岡くんはちょっと困った顔をしてるけど





そんな顔もなんだか可愛い。






「や、なんじゃなくて・・・なんかドキドキしたから。」






思わず俯いてそう言ったら





「俺も、なんだけどね(笑)」






ぽつんと声が聞こえたけど






「あー、えっと。とりあえず、飯行こっか。」






頭をぼさぼさっと搔いて照れ臭そうにした有岡くんがゆっくり歩き出した。






今のって・・・有岡くんもドキドキしてるって事？





いや、まぁそうだよね。





いくら毎朝出会っててもちゃんと知り合ったばっかなんだもん。





そりゃ手繋いだりしたらドキドキするよね？





いや、それならなんで手繋いだの？って話しだけれども。

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