97.美味いモン ページ7
・
こんがり焼けたパンとコーヒーをカウンターにコトンと置いたら
「うーまそー！いっただきます！」
くりくりの目をキラキラさせて手を合わせたチェリー。
ちょっと可愛いんですけど…。
おーちゃん、早く帰って来ないと私が悪い虫になっちゃうかもよ？
…なんて、それを伝える手段すら今の私にはないんだけど。
「チェリーっていつも幸せそうに食べるよね。」
「そ？だって美味いモン食うのって超幸せじゃん。絶対食わなきゃ生きていけないんだからそしたら美味いモン食った方がいいに決まってるよね。」
当たり前のように言いながらパンをむしゃむしゃ食べて
「やっぱAのパンうめーな。」
そう言いながら目をまん丸にしてパンを凝視してるチェリー。
あぁ、私、なんか幸せだなぁ。
ここにいられて、すごく幸せ。
「あのね、翔さん。私、あの家と土地を手放そうと思うの。」
「そっか。」
「でもね、あの家に違う誰かが住むのはやっぱりイヤだから更地にして手放したいの。」
「うん、いいと思う。」
「櫻井先生、手続きお願いしてもいいですか？」
カウンター越しに翔さんを真っ直ぐに見て言った私に
「どうぞこのチェリーにお任せあれ！」
口元にパン屑を付けてにこっと笑ったイケメンはやっぱりどう見てもチェリーだったけどね(笑)
「って実はさ、Aに謝んなきゃいけないことがあって。」
「…やっぱりパン盗んだの？」
「ちげーわ(笑)あの土地の事なんだけど。」
ちょっとだけ罰が悪そうにこめかみをカリカリっとかいたチェリー。
「うん、どうしたの？」
「実はさ、個人的に土地探しの相談を受けててさ。ちょっとAんとこはどうかなって話してるんだよね。」
困ったように私を見上げて話す翔さんだけど
「そか。いいよ、チェリーの思うようにしてくれたら。全部お任せします。」
だってチェリーが悪い人には絶対に見えないし
きっと私はココがあったらもう大丈夫だと思うから
やっぱり真っ直ぐにチェリーを見てそう言った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1413人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
えこる(プロフ) - ちぇろさん» ちぇろさん♪初めまして！凹むことがあったんですね、大丈夫ですか？私のお話しでほっこりしてもらえて嬉しい！凹む事もふと出会えた事もきっと大切な分岐点ですね。こちらこそ、読んで下さってありがとうございます。 (2018年12月16日 7時) (
レス) id: 65a91b6069 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇろ(プロフ) - はじめまして。ふと出会って、イッキ読みでした。ちょっぴり凹んでいた今日がほっこりに変わりました。素敵なお話ありがとうございました。 (2018年12月15日 20時) (レス) id: 41e005de67 (このIDを非表示/違反報告)
えこる(プロフ) - marigd88さん» 初めまして！うわ！なんだか素敵な感想ありがとうございます(≧∇≦)そう言って貰えてホントに嬉しい。読んで頂いてありがとうございました！ (2018年2月20日 18時) (レス) id: f3db2eb862 (このIDを非表示/違反報告)
marigd88(プロフ) - 初めまして、なんだか疲れた心がスッと軽くなるようなお話に出会えて幸せです。ありがとうございます！ (2018年2月20日 1時) (レス) id: 568559de4b (このIDを非表示/違反報告)
えこる(プロフ) - あんこさん» あんこさん、コメントありがとうございますm(_ _)m涙流して貰えるようなとこあったかな…と、書いた本人既に忘れてますが、読んで貰えて凄く嬉しいです。ありがとうございました！ (2017年10月28日 22時) (レス) id: f3db2eb862 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：えこる
作成日時：2017年2月17日 9時
