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向かい合わせで夕飯を食べながら、あっ、と思い出す。
「あのね、言おうと思ってたんだけど」
「なに」
「来る前に連絡してほしいなぁって」
「…してるでしょ」
まあね、完全に間違いではないけど。
でもすでに家の近くとか、玄関の前とか…そういうのじゃなくて。
「んーと、もうちょっと前？ 前日とか、せめて藤原くんが家を出る前とか？」
「…なんで？」
…なんで。
え、なんで？
そんなおかしなことだったかな。
「だってほら、留守かもしれないしさ、誰か来てるかもしれないし？」
「…誰かって誰？」
「誰って…」
「もしかして、男？」
正面からまっすぐ見つめられると、見慣れたと思ってたけどやっぱり綺麗な顔。
睫毛長いな〜、とか、思考がちょっと逸れちゃったけど。
一本連絡ちょうだいね、って。
たぶん一般的なごく普通な話だよね？
ちょっとお願いしただけなのに…。
「男、の人は、今のとこお父さんと藤原くんしか来てないけど…」
「じゃあ今まで通りでいいじゃん、ね？」
「そう…なるの、かな」
「そうだよ」
絶対そうじゃない。とは思うんだけど。
実は強引で頑固な藤原くんにいつも負けてしまう。
あんまり饒舌なわけでもないのに、どうしても勝てる気がしない。
…ううん、本当は勝とうともしていないのかも。
テーブルの上。
藤原くん専用のお箸。
藤原くん専用のお茶碗。
ソファの上。
藤原くんが持ってきた、茶トラの猫のぬいぐるみ。
藤原くんがお昼寝した時に掛けてあげる大き目のブランケット。
少しずつ浸食されていくわたしの部屋。
目の前でもくもくと食べる藤原くんを盗み見て小さくため息。
いまだよくわからない関係のまま。
決定的なことは何も言わない藤原くん、と、わたし。
そろそろこの関係に名前をつけたいと思うんだけど。
藤原くんはどうですか？
end
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ちょる(プロフ) - も。さん» はじめまして。たくさん褒めていただきこちらが嬉しくて叫び出しそうです…！ひとまずはもうひとつの作品の方を頑張りますね。感想頂きどうもありがとうございました！ (2020年6月7日 21時) (
レス) id: 7af395255e (このIDを非表示/違反報告)
も。(プロフ) - こんにちは！お話全て読ませて頂きました、どれも素敵なお話で胸がキュンキュンして叫び出しそうになりながら読みました……これからも更新頑張ってください！猫みたいな〜の作品の方も読ませて頂きます！ (2020年6月7日 17時) (レス) id: db66c21382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちょる | 作成日時：2020年3月1日 21時
