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・・ ページ7

「ねえ、」


校門を出たところで、後ろから腕をつかまれた。
振り返れば同じクラスの藤原くん、ってなんかこれさっきもあったような。

向かい合って、どうしたのかと顔を見上げる。
たぶん今日一日で、今まで喋った時間を大幅に更新してるよね。


「どうしたの?」

「俺、佐々木さんの家知らないんだけど」

「…うち?」


首を傾げてしまう。


「さっき、昼休みに約束したでしょ」

「約束…」

「見に行ってもいい、って」

「え、」


あのよくわからない質問…あれは約束なの?
わたし、知らない間に我が家に招く約束をしてた?


「連れてってくれなきゃ分かんないし」

「いや、何しにっていうか、何を見にくるの」

「あの写真の猫、おっきいやつ」


うわぁ藤原くん、そんなに猫好きだったんだ…へぇ〜いやそっかそっかなるほどねぇ。

そりゃあうちの猫はカワイイけれど。
たいして親しくもないクラスメイトの家の猫でも見たいなんて相当だよ?

この綺麗なお顔とのギャップというのだろうか。
可愛らしい一面を知って、意外性に心の中で小さく感動してしまった。

その間の沈黙を藤原くんは勘違いしたらしい。


「…ごめん、…もしかしてもう、」

「あ、違うの! まだ元気だよ!」

「良かったー…じゃあ行こ?」


にっこりと微笑まれてしまったら、なんだか断るのも申し訳ない気がして。


「猫の名前なんていうの」

「ポチ」

「ポチ…犬みたいだね」

「わたしが付けたわけじゃないからね?
兄妹みたいに育ったのに、今は先におじいちゃんになっちゃった」


そんな話をしながら、家までの道を一緒に歩くなんて想像したこともなかった。
今日初めてまともに喋った男の子だよね?
どう考えてもおかしな気がする…んだけれど。


ただのクラスメイト。
友達っていうわけでもなかったのに。

この日から藤原くんとわたしのよくわからない関係が始まった。

・・・→←猫みたいな彼とのお話(i.f)



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ちょる(プロフ) - も。さん» はじめまして。たくさん褒めていただきこちらが嬉しくて叫び出しそうです…!ひとまずはもうひとつの作品の方を頑張りますね。感想頂きどうもありがとうございました! (2020年6月7日 21時) (レス) id: 7af395255e (このIDを非表示/違反報告)
も。(プロフ) - こんにちは!お話全て読ませて頂きました、どれも素敵なお話で胸がキュンキュンして叫び出しそうになりながら読みました……これからも更新頑張ってください!猫みたいな〜の作品の方も読ませて頂きます! (2020年6月7日 17時) (レス) id: db66c21382 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちょる | 作成日時:2020年3月1日 21時

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