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猫みたいな彼とのお話(i.f) ページ6

「これ落としたよ」


そう声をかけられたのは昼休みのざわざわした廊下。ちょうど教室を出たところで。
振り返れば同じクラスの藤原くんが立っていた。


「ん、」

「え?」


目の高さに見えるように藤原くんが持っていたのは一枚の写真。
小さな頃の自分が、茶色い大きなトラ猫を抱えてカメラに得意げな顔をしてる。
手帳に挟んであったのが知らない間に落ちてしまったのだろう。


「そうみたい、どうもありがとう」


ちゃんとお礼を言いつつ受け取ろうとしたのに。
なぜかそのまま返されることなく、写真をじぃっと見る藤原くん。


「あの…?」

「これ、佐々木さん?」

「うん」

「ふぅん…」


え、なに。ちっちゃい時の自分の写真持ち歩いてるとか変だったかな。
でもお気に入りの写真なんだもん、別にいいでしょ。

人の写真を眺めてつまんなそうにも見える藤原くんの顔。
改めて真正面から見てみると、すっごい整ってて非常にお綺麗。

高校入学からしばらくしてちょっと噂になってたもんね。
1年生にすごいイケメンがいる、って。
2年生になって同じクラスになったけど、あんまり喋ったことなかったなぁ。

そんなことをつらつらと考えてると、やっとこっちに写真を差し出してくれた。


「いい写真」

「それはありがとう」

「可愛いね」

「へ?」

「おっきい猫」

「あっ、あー猫…、猫ね、うん」


可愛いね、に過剰に反応しちゃった。
もうやだ恥ずかしいわー。
目が泳いでませんようにと思いながら写真を受け取った時だった。


「佐々木さんはまっすぐ帰るの?」

「え、あ、そうだね。 部活もしてないし」


友達との約束も今日はなし!
っていうか急に何?


「じゃあ見に行っていい?」

「…うん?」

「ありがと、それじゃあまた後で」


…ん? ありがと…って?

藤原くんてものすっごくマイペースな人なのかな。
きちんと会話が成り立っていた気もするし出来ていないような気もする。

とりあえずちょっと意味が分からなかったものの、


「あ、そうだった」


昼休みが終わりそうな事に気付き、慌てて行こうとしてたトイレに向かった。

・・→←※次話について



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ちょる(プロフ) - も。さん» はじめまして。たくさん褒めていただきこちらが嬉しくて叫び出しそうです…!ひとまずはもうひとつの作品の方を頑張りますね。感想頂きどうもありがとうございました! (2020年6月7日 21時) (レス) id: 7af395255e (このIDを非表示/違反報告)
も。(プロフ) - こんにちは!お話全て読ませて頂きました、どれも素敵なお話で胸がキュンキュンして叫び出しそうになりながら読みました……これからも更新頑張ってください!猫みたいな〜の作品の方も読ませて頂きます! (2020年6月7日 17時) (レス) id: db66c21382 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちょる | 作成日時:2020年3月1日 21時

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