【おそ松さん】次男、拾いました。３

第94話「魚の縁」 ページ29

「(あ、魚…買うの忘れてた…)」


今日も仕事も終わり、夕飯の買い物をし終えスーパーを出ると買い忘れに気づいた

今更また中に戻ってレジならぶのもめんどくさいし恥ずかしいな…

商店街に魚屋とかあるかな？

暇つぶしもかねて商店街を転々と歩くと、前までなかったような店や逆にあったはずの店がなくなってたり色々変わっていた

平日なのに賑わうこの商店街に来たのは久しぶりで、ひとりでキョロキョロしながら歩いているとどこからか魚独特の生臭い匂いが漂ってきた


「ありがとうございましたー！」


何やら可愛い女の子と夫婦が声を張って魚を売ってるのが見えてきた

さて目当ての魚は…と探していると突然声をかけられた


「何をお探しですか？」

「あー、カレイってあります？」


下の方でふたつに結んだリボンとつぶらな瞳

声も可愛いし雰囲気も可憐な女の子みたいで、まさに男の理想の女の子が話しかけてきた

その可愛さに若干癒されながらカレイを持ってきてもらうと、早速お買い上げ

ちょっとスーパーより高いけど、新鮮そうだからいっか

なんて思いながらお金を渡し、袋を受け取る


「あなた初めて見る顔ね、私結構ここに立つことあるんだけど見たことないわ」

「私もすごい久しぶりにここに来たもんですからね、カレイありがとうございました」


一言二言交わし、女の子と別れると帰宅するためまた歩く


「…あれ？」


袋の中にはカレイの他にも何匹か魚が入っていた

間違えた？いやそんなまさか

ふと紙が入ってることに気付き、取り出してみると


『毎度あり！あなたとは歳も近いみたいだから仲良くしたいわ。たまに買いにきてね！』


と、なんともまた可愛い字で書かれていた

よし、今度また絶対買いに行こう


「ただいまー」

「おかえり！ねぇAちゃん聞いてよ！兄さんたちがパチンコ買ったみたいでさ、出前とっちゃった！」

「え」

「いっつもAちゃんに苦労かけてるし、たまにはいいかな？」


コテンと首をかしげながら聞いてくるあたり本当にあざとい

が、今日は生魚がある


「…あれ？それって魚？」

「うん、今日カレイでも煮ようと思って…」

「おいクソ兄貴共！！出前キャンセルするぞ！！！！」


聞いた瞬間あざといキャラはどこへ行ったのか、トド松はダッとリビングに駆け出した

こいつらが来てから、毎日とても楽しい

聞こえてくる焦った声にクスリと笑い、今日も賑やかなリビングに向かう為に靴を脱いた

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