ヨコハマ・テディベア・ガール【文スト】 (ページ3)

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化石には愛と勇気が詰まっている。ページ3

誰が見たってそうだった。

この世界には様々な髪色、瞳の色、服装が存在するが、彼女の姿は奇抜に見えた。

「どピンク」

という表現がぴったりな髪の毛を両サイドで高く結び、右目が赤左目が青のオッドアイ。

ゴシックロリータ、所謂「ゴスロリ」を身に纏い、魔女のような格好だ。

対照的に当人は幼い容姿で、身長は小学三年生くらいだ。

そのアンバランスのピラミッドを絶妙にぶち壊しているのは手に持ったテディベア。

はっきり言って、「珍妙、奇妙」。

しかし彼女は気に留めなかった。

髪や瞳は生まれつきで、染めた事は無いし、カラコンを入れてもいない。

服装は自分の趣味だ。どうこう言われる筋合いはない。

それと彼女はもう成人しているので身長、容姿に関してはコンプレックスであった。

そしてこのテディベアは、大切な、大切なものだった。

どんなに似合っていなくても、捨てることなど有りはしない。

今日も彼女が街を歩けば、冷たい視線を向けられた。

だがまだ知らないのだ。彼女が《化石強盗》の犯人であること、そしてこれからもっと重い罪を背負うことになる事を。

この時点でそれに気付いていたのは彼女だけだった。