あいつはあの子のもの－風磨－ (ページ17)

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なんとか５曲目まで終わり、

私のミスはまるで無かった事のように

無事終わった。

終わるや否や、皆はすぐに

写真を撮り始めた。

今しかないと思った私は、

彼に声をかけた。

『ねぇ、』

「あ？」

『……写真、撮ろ？』

すると、彼は何も言わず

ポケットからスマホを取り出した。

『いや、いいよ。

あたしので撮るから』

「いいから黙っとけ」

そう言って、彼は私の肩に

手を回し、シャッターボタンを押した。

なんで私のことをそんなに

意識してくれないのかと、

嬉しさの反面、

切ない気持ちでいっぱいになった。

「あとで送るから」

『わかった』

そう言うと、彼は

他の女子たちのところへ行って

皆と写真を撮り始めた。

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援団の衣装から体育着に着替え、

次の競技の集合場所へと向かった。

『全員リレーかぁ…』

かったるいなぁ、なんて

思っていた時、

「ごめん。

(人2)さん２回走ってくれる？」

体育委員の女子にそう言われた。

「(人2)さん、足速いしさ！

それに走順的にも丁度いいし！」

あ、なるほどね。

要するに皆が嫌がる事は

私がやれと、そう言いたいわけね。

でもまぁ、このクラスの中では

速い方だし。

『いいよ』

少し自信があった私は、

快く引き受けた。

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だが、告げられた走順は、

私が本来走る順番の

次の次だった。

どこが丁度いいんだよ

なんて思ったけど、

代わりの走順を告げられたのは

もう入場門をくぐり抜けた後だったため、

何も言い返せなかった。

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-いちについて

よーい、

ﾊﾟﾝｯ

校庭中に響きわたった

銃声音と共に、競技が始まった。

響きわたる歓声。

必死になって走るみんなの姿。

その全てが、

心臓が飛び出しそうなほどの緊張へと

変えていった。

「じゃあ、(人2)さん。

次入って」

いよいよ次かぁ…。

そう思っている中、

私の出番は刻一刻と近づいていた。

「走って！」

クラスメイトのその合図と共に

私は走り出し、バトンを受け取った。

何も考えずただがむしゃらに

走り続け、バトンを渡すと

私はもう一度同じ立ち位置に戻って

バトンが来るのを待った。

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