あいつはあの子のもの－風磨－ (ページ5)

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帰り道。

私は学校からの最寄駅から

自宅の最寄駅の方面の

電車を待っていた。

「あっ！」

『あ…』

偶然彼と会ってしまった。

「こっち方面なんだ」

『うん』

ちゃっかり隣に来た彼は

少し警戒した様子で

私に話しかけてきた。

『っていうか、なんで

こんな陰キャラなあたしのこと

知ってんの？』

「ぷはっ笑」

『えっ、今なんで笑ったの』

「まず、茶髪の時点で目立ってるし、

それに、クラス替えの時に

HRに参加しなかったくせに、

陰キャラな訳ないでしょ笑」

そっか、春休みに髪染めたばっかだから

黒染めが落ちてきてたのか。

すると、

-まもなく２番線に電車がまいります。

危ないですからお下がりください。

駅のアナウンスが鳴った。

「じゃあ、俺こっちだから」

『こっちって？』

「俺、端の号車に乗るって決めてるから」

彼の嘘はあからさまだった。

『せっかくだし、一緒に帰ろうよ。』

私自身、なんでこんなことを

口にしたのかわからない。

でも、もう少しだけ

彼と話していたかった。

「嬉しいけど、

(人1)に怒られるから…笑」

そう言って、彼は

私と違う列車に乗った。

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各駅停車の電車に揺られて、

私は最寄り駅に降りた。

重い鞄を肩から下げて歩き出した時、

私は急に立ち止まった。

そこには、急行列車を待つ

彼がいたからだ。

声をかけようか、

気づかぬふりをしたまま

改札に向かうか、

私はすごく悩んだ。

だが、体は勝手に動いていた。

『風磨！』

私の声に気づいた彼が

私を驚いたように見つめた。

『……じゃあね！』

精一杯の笑顔で言うと、

彼は何も言わずに手を振った。

この時、少しだけ気持ちが

揺らいだ気がした。

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