シグナルチェンジ…Kei.I… (ページ26)

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暫く、いいなー、なんて言われていると、
丁度チャイムが鳴って慌てて席につく。

もう何度もしたような会話。

慧は高校では勿論、
中学でもそれなりに有名だったから、
一緒に歩いているとよく周りに見られた。

友達に羨ましがられることもしょっちゅうだった。

＊

そうだった。

私は慧と一緒に歩くのが自慢だった。

一緒に登校するのが自慢だった。

友達に羨ましがられると優越感を感じた。

高校の時、
2人乗りして学校に行きたいなどと言ったのも、
そうすればもっと羨ましがられると思ったからだ。

『Aいいなー、』と
言われたかったからだ。

だけど、
あの時の慧の反応は意外だった。

私が頼めば絶対、面倒くさがりながらも、
いーよ、と言うと思っていた。

とんだ思い上がりだった。

だけど、
あの時の私は本当にそう思っていた。

そんな嫌な女なのだから当たり前だけど、
陰で良いように言われていないことは知っていた。

そういう悪口が、
何度となく個室に降ってきていた。

＊

「てか超うざいよね、AA。
伊野尾くんはおまえのもんじゃないっつーの。」

「ねー。彼女が自慢するならまだ分かるけどさ、別にあいつはたまたま近所に住んでるだけじゃん？」