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「 、」
薄らと目を開ける。
電気も点いていないし、
太陽の光もまだ入ってこない。
眠ってから、まだそう時間が経っていないのではないだろうか。
それでも何かの音がするから、
ぎゅっと目を凝らしてみる。
ぎしり、と音がしてベットが沈んだ。
涼介「…起きてんだろ？」
A「りょ、すけ？………っ、」
高過ぎず低過ぎない、耳触りの良い声。
耳元で囁かれるその声にびくりと身体を揺らせば、
ふわりと暖かな熱が掌と、
それから、唇に。
何が起きたか分からなくて、
頭の中が真っ白になった。
私からか涼介からか、それとも二人共からなのか。
口の中にアルコールの味が広がる。
ああ、酔っているんだ。
そうぼんやり思った。
A「ん、んん…？！」
掌の上を涼介の指が滑る。
ベッドが軋む音とともに、
涼介の舌が咥内をかき乱す。
深く、もっと深くと進んでいく口づけに、
目の前がくらくらした。
ダメだ。
このまま流されるわけには、いかない。
朦朧とする意識の中、どうにか保つことのできた自我で首を振り、涼介から逃れる。
数分にも感じられたキスは、
私の呼吸を奪っていた。
なんとか息を整えて涼介を睨むも、
体制はそのまま。
必然的に見上げる形になってしまった。
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作者名：環
| 作成日時：2019年6月20日 23時
