XYZ…Ryosuke.Y (ページ13)

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「Aー、これもお願い」

A「はい！」

「仕事頼んでおきながら何だけど、最近働き過ぎだろ。少しは休めよ？」

A「……はい！」

「ちょっと顔色悪そうだし。
あ、これ、やるよ。」

A「え、あ、ありがとうございます！」

普段、物などくれない部長からお菓子を手渡されて驚いたけれど、
それくらい働いている、という証拠なのだろう。

もらった飴をポケットに押し込んで、
仕事を再開した。

まずはデータ入力。

既に作ってあるエクセルを展開させて入力、
加工して資料を作成。

カタカタとリズミカルにキーボードを打っていると、ぐらり、と視界が歪んだ気がした。

そういえば最近ご飯もあんまり食べられていない。

もらった飴ぐらい舐めておこう、と
手を止めてポケットから飴を取り出す。

封を開ければ甘いイチゴの香りが広がった。

A「っ、」

ぐわん、と世界が掠んだ。

デスクに左肘をついて頭を支える。

咄嗟に取った行動で、
今開けたばかりの飴が床に転がっていく。

それを拾おうとも考え付かないくらい、
胃から這い上がってくる妙な圧迫感に胸を押さえる。

(…きもち、わる、)

　

世界が、廻る。

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