100 ページ50
.
ダメだ、ダメだ、ダメだ。
これ以上、侑李を意識してはいけない。
侑李の、一挙一動に反応を示してはいけない。
彼を好きだなんて、感じてはいけない。
侑李の隣にいるためには、余計な感情。
あってはならない感情。
侑李「A！」
なのに、なんて残酷なんだろう。
A「っ、わ、」
侑李の声が聞こえて我に返ってみれば、
目の前に自転車が迫っていた。
慌てて避けてはみたけれど、
その先にあったのは垣根。
バランスを崩した私は一気に垣根の中に突っ込む。
A「――っ……！」
カラカラ、と。
ペットボトルが転がる音が響いた。
痛みはなかった。
侑李「、何ボケっとしてんの。」
代わりに耳元で聞こえたのは、侑李の声で。
それは私の身体に甘い痺れを運んだ。
A「ゆう、り……。」
気が付けば私は侑李の温もりに包まれていた。
小柄の割に力強い侑李の腕に、抱きとめられていた。
遠くに、自転車の音が聞こえて
この場から去っていったことが分かる。
吃驚した、とか。
怖かった、とか。
そんな気持ちは、何処かに吹き飛んでしまった。
侑李「まったくどこ見て……、A？」
ただ、回された腕に、
目の前にある優しく崩された表情に。
その温かさに。
全身が、熱を帯びた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 514人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：環
| 作成日時：2018年12月18日 15時
