フェイクラバーズ②…Yuri.C (ページ46)

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『そういうのが嫌になったら別れればいいよ。普通の恋人みたいに、さ。』

『……うん。』

侑李は、私のことが好きではなかった。

私は、侑李のことが好きではなかった。

でも。

『まあ、僕はAといるの、割と好きだけどね。』

侑李は、

侑李のことが好きではない私と、
一緒にいることは好きだと言ってくれた。

『なんか落ち着く。』

『…うん、私も。』

私も、
私のことを好きではない侑李と、
一緒にいることが好きだったはずなんだ。

彼と居るときの私は、
ひどく心が落ち着いていて。

彼の隣は、居心地が良かった。

けれど、いつの間にか私は、
そんな侑李に恋をしていた。

大貴と一緒にいるときは大荒れの津波のど真ん中で踏ん張っているような感じなのに、

侑李と一緒にいるときは小波の上をゆらゆらと流されているような、

そんな感覚だと思った。

それはきっと、侑李が私のことを護ってくれているような、包み込まれているような気がしていたからだ。

いつだって侑李は、私を想っていた。

大貴のことを好きな私を、
自分のことのように大切にしてくれていた。

そう、つまりそういうこと。

侑李は、
自分のことを好きな私には、

用がない。

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