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店長の結婚式が終われば、
冬はすぐにやってきた。
肌寒い風が街並を通り抜け、吐く息を白く染める。
私は着込んだコートとストールへと身を沈めて肩を震わせた。
A「はあ、」
寒さに耐えかねて、また１つ息を落とす。
侑李「ごめん、お待たせ。」
A「うん、大丈夫。」
すぐ済むから、と１人コンビニへと足を踏み入れた侑李が自動ドアをくぐりながら、私に振り返った。
入っとけば良かったのに、と侑李は言ったけれど。
用もないのに店内に入って所在なさげに付いて回ることに抵抗があったから。
侑李「さすが、しつけがなってるね。」
風の冷たさが教えてくれたのは、
冬は寒い、ということだけではなかった。
A「……私は犬ですか。」
侑李「忠犬A公？」
A「なにそれ微妙〜。」
楽しげに表情を崩す、侑李。
私が口を尖らせてみても、
彼は意地悪に目を細めるばかり。
けれど、
侑李「はい、」
A「――、わ、え？」
侑李「ココアでいいでしょ。」
急に頬に触れた熱に驚いて侑李を見つめてみれば、
またどうしようもなく切ない想いに駆られる。
すぐ目の前に差し出されていたのは、
彼のずるい優しさ。
嬉しくて。
それ以上に、苦しい。
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作者名：環
| 作成日時：2018年12月18日 15時
