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A「ねえ、ドレスは？どう？」
侑李「え？いいんじゃない。」
A「もー侑李、いいんじゃない、ばっかり。」
侑李「素直な感想なんだから、いいでしょ。」
A「素直なのに可愛くなーい！」
私が口を尖らせてみると、今度は侑李の方が先に喉を鳴らした。
どこか、大人っぽい笑み。
憂いを含んでいるそれは、彼の気持ちが全て此処にあるわけではないというようだった。
A「…似合う？」
侑李「うん、似合うよ。」
A「綺麗？」
侑李「うん、綺麗。」
A「…店長より？」
侑李「……うん。そうだね。」
嘘だ、と思った。
A「そっか。」
だけど、私は侑李に笑ってみせるしかなかった。
その優しい表情を私に向けることが、
彼の本望ではなかったとしても。
それでも私に侑李を怒ったり、詰め寄ったりすることは出来ない。
増してや悲しんだり、寂しがったりすることも。
何故ってそれは、
私にそんな権利がないからだ。
侑李「…今日のA、やっぱ変だね。」
侑李は、店長が好きで。
私は、大貴が好きで。
お互いにお互いの想いを知っていて、
一緒にいることを決めたんだ。
それなのに、自分だけが心変わりして、侑李のことを好きだなんて、言えるだろうか。
今更自分勝手に、侑李に自分のことを好きになってもらいたい、だなんて言えるはずもなかった。
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作者名：環
| 作成日時：2018年12月18日 15時
