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彼は、何を思っているのだろう。
誰を想っているのだろう。
脇に置かれているブーケが、目に毒だった。
少し離れたところで、店長のお父さんらしい人が嗚咽を漏らしているのが聞こえる。
何処かで見たことがあると思ったら、
有名な大学教授で、テレビにもよく出ている人だ。
侑李にも言えたことだけれど、家柄まで良いとはまたなんて嫌味な。
才色兼備とは、彼女のためにあるような言葉かもしれない。
侑李「A、出よ。」
A「え？」
そんな瞑想に耽っている間にも披露宴は進行していて、気が付けば店長の学生時代の友人らしきグループが楽器演奏をしているところだった。
そこで侑李が、その余興を見もせずに、私を真っ直ぐと見つめている。
A「何、どうしたの急に？」
侑李「Aがぼけーっとしてるからでしょ。余興も飽きてきたことだし、外行こ。」
A「あ、……うん。」
顎で外を指して見せた侑李に、反論する理由なんてなかった。
これ以上、彼女と自分の差を目の当たりにし続けられるほどの精神力すら、
私には、ない。
けれど、侑李が私を連れ出そうとしたことが私の心を晴らすことにはならなかった。
何故なら、その行動自体がもう、侑李の気持ちが未だに彼女にあるのだということを象徴しているような気がしたから。
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作者名：環
| 作成日時：2018年12月18日 15時
