フェイクラバーズ…Yuri.C (ページ44)

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侑李と居るときの私は、
ひどく心が落ち着いていた。

彼の隣は居心地が良い。

それが、先述の理由に因るものかどうかは分かりかねるけれど。

大貴と一緒に居るときは、

絶えず大荒れの津波のど真ん中で必死に倒れないように踏ん張っているような感じ。

侑李と一緒に居るときは、

浮き輪で小波の上をゆらゆらと流れているような、そんな感覚だった。

そのスリリングな感覚が恋というものだ、と言われればそれまでだったけど、
浮き輪に揺られているのも、そう悪くはない。

更に再び雑誌へと目を戻した侑李を横目に、テレビの電源を入れると、お天気キャスターの人が梅雨入りの予想をしていた。

それから更に数ヶ月。

残暑もおさまってきた日折、
私はそんな侑李とのやりとりを思い出していた。

今日も今日とて変わり映えのしない大学生活を過ごして、今しがた授業を終えたばかりの教室を出る。

最近では周りも就活だなんだと五月蠅くなってきた。

たまたまヘルプに来ていた薮さんに、うちで正社員になればー、なんて言われたけれど、
侑李の想い人と同僚になる気にはなれかった。

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