フェイクラバーズ…Yuri.C (ページ12)

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よく考えれば、
別に付き合う必要はなかったのかもしれない。

改めてそんな枠に嵌まらなくても、私たちは一緒にいたし、その枠の中で何か変わったこともない。

一緒に涙を流す相手が欲しかったのなら、
肩書きなんて要らなかったはずだ。

お互い泣きたいときに相手を呼び寄せて、
一頻り泣き喚けば良かっただけ。

それというのに、
私たちは付き合い始めた。

たぶん、耐えられなかったのだろう。

共に泣く相手を失うかもしれない、ということじゃなくて。

自分が独りだ、ということに。

そして、私は大貴に、侑李は店長に。

伝えたかったんだ、幸せなんだぞ、と。

気付かれていない想いに、そんな見栄など何の意味もなさないと分かっていても。

惨めな想いをするのは、もう御免だった。

侑李「Aお疲れ。こっち。」

A「ん。今行く。」

私と侑李のやり取りに、控え室が騒めく。

ちょうど入れ替わりの時間で、数人が談笑しているところだった。

アルバイト先では、私と侑李が一緒に居るところを目撃した人は、実はそういない。

大貴と私の仲が良いことを知っている人は多いけれど、侑李との仲を知る人間は殆どいなかった。

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