76…(side Y) ページ27
side>＞＞Yuya
雄也「なんでAが泣くんだよ。」
A「だ、だって、雄也が……、
話してくれたから。」
雄也「そーだよ、おまえの為に話してやってんだから最後まで聞けよ。」
A「うん…、うん。」
涙を拭きながら、鼻をかみながら、
Aがぐちゃぐちゃの顔のまま俺を見上げる。
ほんと、ひでー顔。
だけどその顔を見たら、やけに安心した。
『Aの為』の話だったはずなのに、いつの間にか『俺の為』に話を聞いて、泣いてくれている。
それを素直にありがとうと思えるのは、
心を許した友達だから、
相手がAだから、なんだろう。
雄也「なんか変だなー、とは思ってたけど、それ聞いてやっぱ傷付いたんだよね俺。
好きで付き合ってたわけだし。
…だけどスッキリもした。」
A「そう、なの？」
雄也「まあずっと溜め込んでてイラついてたし。
聞きたいこと聞いて、言いたいこと言って、未練もなく終わったよ。だから今こーやって笑えてる。」
そう言って口角を持ち上げてみせた。
雄也「な、俺笑ってるっしょ？」
A「…口を…無理矢理…上げているように、」
雄也「光くんみてーなこと言うな。」
A「った！」
思わずAの頭を小突くと、
なんだか気が抜けて笑ってしまった。
Aも釣られて一緒に笑い出す。
雄也「俺は…Aにも、逃げないでいて欲しかっただけなのかも。」
独り言のように呟いたそれを、
Aが聞いていたのかは分からない。
ただ一瞬、悲しそうに、笑っていた。
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作者名：環
| 作成日時：2018年8月26日 15時
